No.21 ● 俳句添削 ●
添削コーナー/高木良多
本誌 会友招待席「鑑賞と添削」より
密やかに昔語りや内裏雛 麻生 勝典
内裏雛は雛人形の一種で、天皇・皇后の姿をかたどって作った男女一対の人形のこと。密やかに昔語りをしているのは内裏雛そのものであるようにも思えるし、その内裏雛を見ている作者ご夫妻のようにも描かれている。その二面性が表現されることになっているのは「密やかに」の形容詞の言葉の選び方である。
葬列に蝶が加はり橋揺るる 麻生美智子
原句は「もんしろちよう列に加はり橋揺るる」であったのをこのように添削。原句では何の列であるかが分からないので葬列とした。蝶々が葬列に加わったくらいで橋が揺れるわけがない。葬列に蝶が来て蝶も死者の靈を弔っているのであろうと人間の意志が加わっていると読者は解釈ができるのである。葬列なればである。
(つづきは本誌をご覧ください。)