東京ふうが56号(平成31年冬季・新年号)

韓国俳句話あれこれ

本郷民男

1、 矢立のはじめ

 これは江戸の外れに住む浪人にて候と、お話をさせて頂きます。二〇〇六年に、韓国慶州の仏教美術を調べようと移住しました。ところが慶州に韓国俳句研究院が設立され、誘われて入院して徘徊を患ってしまいました。ついには大学院にも入院して、『東北・北海道俳額の研究』で文学博士号を冥途のお土産に貰いました。玉くしげを開けるまでもなく、徘徊老人となってこの世へ戻りました。竜宮の俳諧について申し述べます。

2、 韓の詩と俳句のはじまり

 ▲百済へ続く敷島・筑波の道
『古今和歌集』の仮名序に、やまとうたの起源が書かれています。素戔嗚尊が出雲で詠んだのが、みそひともじの初めです。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠(つまご)めに 八重垣つくる その八重垣を
けれども神代で、人の世としては仁徳天皇の時代の王仁(わに)博士作が最古です。
難波津(なにはづ)に咲くや 木(こ)の花 冬こもり 今は春べと咲くや 木の花
王仁博士は文字のなかった日本へ百済から論語と千字文を伝えた学者で、敷島の道は百済へ繋がります。

(つづきは本誌をご覧ください。)