東京ふうが 27号(平成23年 秋季号)

ニーハオ中国俳句の旅 13

俳句紀行・番外編

2001年初夏 バンコクぶらりぶらり

蟇目 良雨

5月2日  ベトナムのタンソンニャット国際空港よりタイ航空TG1681 13時50分発でバンコクへ

約1時間半の空の旅で飛行機はベトナムの旧サイゴンからメコンデルタの青々した光景を眼下に見ながらカンボジヤを越えタイのバンコクに着いた。広大なメコンデルタには各所に雲の峰が狼煙のように立ち上がっている。

サイゴンを発つときは晴れていた空はバンコク北部のドン・ムアン国際空港に着くころには小雨に変わっていた。ドン・ムアンとは地名のこと。日本で成田、羽田というのに等しい。ここはサイゴンと同じ緯度だが距離で1000キロの隔たりがあれば気象は変わって当たり前か。ベトナムは国土全部が南シナ海に東面しこの海の影響をまともに受けているのに対して、バンコクはタイ湾の奥まったところに位置し、しかも低いながらもカンボジアとビルマ(ミャンマー)にある山脈で挟まれているのが気象面でもベトナムとは違うようだ。空港の施設は近代的であるが一歩外に出るとその蒸し暑さは耐えがたいものであった。日本の梅雨の真っ盛りの時のよう。学生時代に下宿していた家で雨漏りがあり、放置しておいたら畳に茸の一種が生えてきたことなど思い出すありさま。あの頃は貧しいが楽しいことも多かった。

(つづきは本誌をご覧ください。)