東京ふうが36号(平成26年 冬季・新年号)

「旅と俳句」梅里雪山の旅 2

「旅と俳句」2012夏 中国雲南省徳欽県 梅里雪山の旅

4、飛来寺へ移動 8月20日(月)曇時々雨

石川 英子

7時半起床。朝食は粥と麺類と野菜炒め位で特筆する物なし。天行悪し。ザックに一泊分の仕度と雨具を入れて出発。濃霧の為10キロばかりの距離を一時間かけて飛来寺集落の「観景天堂大酒店」に投宿(別名 ビューイング・パラダイスホテル)。一泊分を支払って部屋に落ちつくと、運良く雲が切れていて窓から梅里雪山山系を全部かかえ込むようなロケーションであった。すっかり気に入ってあとの二泊もこの宿に決め、私は部屋に残って正人が卡瓦格博(カワクボ)賓館へトランクを取りに行く。
道中正人は其林君の事や日本の事を話しあっていた。其林君は日本の物価がシャングリラと比較してあまりにも高いのに驚いていた。
其林君は22歳。18歳で結婚し2歳の女の子の父。78歳の祖母、43歳の父と41歳の母。親と同居して妻と娘の6人暮しだが、是非男の子が欲しいので子供をもう1人生むという。少数民族に1人っ子政策はないが、22歳にして既に人生設計が出来ているのに45歳の息子はおどろく。今乗っている車は中学を卒業(9歳で小学校へ入学)すると同時に運転免許証を取り、9年間使った中古の三菱パジェロは、昨年12万2千円で購入。頭金を父親に借り、5年ローンを組んで順調に返している。「性能と丈夫さは日本車が一番だ。しかし日本産は高いので中国産のパジェロなんですけど。」と言って胸を張る。仕事もせずに、反日運動に現をぬかし、日本車を破壊したり燃やしたりしている大馬鹿どもに聞かせてやりたいと正人は怒っていた。
卡瓦格博の方は問題なく二泊分返金されて、新ホテル代を支払って来た。

(つづきは本誌をご覧ください。)