東京ふうが53号(平成30年春季号)

第14回「遊ホーッ」

洒落斎

①仏教の話

 村井幸三著の『お坊さんが困る仏教の話』に仏教の話が記述されていますので、その絡みについて記します。

●仏の序列

 最高は釈迦如来、薬師如来などの「如来」。如来とは「真実から来たる人」という。(注.阿弥陀如来は浄土宗、浄土真宗の本尊、大日如来は真言宗の本尊)

 次が「菩薩」(注.自ら菩提を求める一方、衆生を導き、仏道を求めようとする行者) 、その下が愛染明王、不動明王など仏教を実行する「明王」、そして専門分野を引き受ける帝釈天、弁財天といった「天」の順になっている。

 悟りを得た人を「阿羅漢」、すなわち「施しを受けるに値する人と呼ぶ」
「あらかん」というと嵐寛寿郎を思い出すのは70歳以上の年代だけでしょうね。

●仏教の五戒と八戒

 五戒には次が含まれる。
・生き物を殺すな(不殺生)
・嘘をつくな(不妄語)
・盗むな(不偸盗)
・女性と不適切な関係を持つな(不邪淫)
・酒を飲むな(不飲酒)

 この五戒だとほぼ全員が守っていないと思われる。要するに守れないから五戒として挙げられていると解釈すべきなのだ。4番目の女性と不適切な関係を持つなという戒は男性にいっているものと思われるが、男性だけにいうのは不公平であり、現在なら差別であろうがお釈迦様の時代ですから止むを得ないであろう。なお酒を飲むなという戒は後世つけ加えられたという説もある。

 なお八戒は五戒に次の三戒が加わる。
・高大美麗な床上に座せぬこと ・身に香を塗らず、華鬘(げまん)を飾らず
・歌舞を視聴せぬこと

 序に八戒絡みで孫悟空について記します。

 孫悟空の話には猪八戒、と沙悟浄が出てきますが、名前には悟、空、八戒、浄なる仏教語が付いており、玄奘三蔵の弟子ということになっているので仏教語が使われていることには何の不思議さもない。但し、猪八戒の名前だけなぜ猪悟○で○の中は戒、とか無などにしなかったのかが不明です。まして上に記したような八戒が名前に使用されるとは、よほど猪八戒は戒を守らなかったのではと考えざるをえません。それに引き換え孫悟空は空を悟る、沙悟浄は浄を悟るということでずいぶん高尚な名前になっています。


(つづきは本誌をご覧ください。)