東京ふうが59号(令和元年秋季号)

第20回「遊ホーッ」

洒落斎

① イギリスのEU離脱と英語問題

イギリスがEUを離脱すると英語問題が発生することになります。この点については日高義樹著の『トランプショックがせまる貿易戦争・核戦争の危機』に記されています。以下に紹介します。

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EUから離脱したイギリスが、新しく就任したテリーザ・メイ首相のもとでまず行ったのは核戦力の強化である。イギリスは原子力ミサイル潜水艦や戦略爆撃機を保有しているものの、核弾頭はアメリカから供与されたものである。このため「イギリスはアメリカの核のボタンに重ねて指をかけている」と言われてきたが、イギリスは核戦略を強化することで、独自の核戦略に向かう姿勢を明確にした。

この核兵器の問題は、日本にも必ず大きな影響を与えることになるはずである。だが当面日本に大きな影響を与えるのは、イギリスが離脱した後、EUの公式文書から英語が消えることである。イギリスのEU離脱が決まった数日後、欧州議会憲法委員会のヒュブナー委員長は次のように述べた。

「EU加盟国は公用語を一つ申請する権利を持っている。イギリスの申請で英語が公用語の一つになっているが、イギリスが出ていくならば、英語も出ていかなければならない」 …

EUの公式文書が英語で作成されなくなり、会議から英語が消えることになれば、日本は外交上きわめて不便になる。日本企業が大きな影響を受ける。 …

EUの各機関が英語を共通語として長い間つかってきていることから、便宜的に英語を残すことになるという予想もあるが、ヨーロッパ諸国はイギリスの離脱に反感を持っており、欧州委員会ではすでに英語の使用を減らしている。いずれにせよヨーロッパでイギリスの影響力が急激に低下し、それにともなってアメリカの影響力も大きく低下することは明らかである。

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以上ですが、イギリスのEU離脱によってEUで英語が公用語でなくなるとしたら、文書はドイツ語やフランス語が主になるので、それらの言語に通じた人材を増やさないと日本の政府や企業は対応不能になってしまう。真剣に考えないと大変なことになる。

洒落斎氏のEU内での税務署の話も面白いでしょう。(編集子)


(つづきは本誌をご覧ください。)