東京ふうが23号(平成22年秋季号)

東京ふうが 23号(平成22年 秋季号)

曾良を尋ねて 6

俳句との出会い

乾 佐知子

 曾良がいつ頃から俳句を始めたか、ということは研究者の間でも特定されていない。当時の曾良の生活環境を知る手掛かりはほとんどない為に、私なりに独自に推考を進めてみたいと思う。
曾良が長島藩に任官したのは20歳位であろうというのが大方の研究者の見方であるが、当時の藩主良尚公(康尚の前名)が40代半ばで当地での治政も20数年を経て最も安定した状態であったことと、良尚公の人柄が大変立派な藩主であったことが若い曾良には幸いした。理解ある藩主のもとで、曾良は恵まれなかった子供の頃にくらべれば、ここでの生活は精神的に最も充実して学問や武芸に励むことが出来た時期であったと思われる。

(つづきは本誌をご覧ください。)