東京ふうが 28号(平成24年 冬季・新年号)

澤木欣一の句集鑑賞

澤木欣一の句集鑑賞

定本『塩田』

高木 良多

澤木欣一の句集、定本『塩田』は句集『塩田』の再版といえる句集で、昭和 51年7月に牧羊社から発行されている。その最初の句集『塩田』を出してから20年を経ている。
再版のこの句集の「あとがき」で著者は再版に当たって、作品の仮名遣いを旧仮名に改め、また若干を加筆したと述べている。
また、著者は、第一句集『雪白』のなかから選んだ句とその後の句を選び、併せてこの句集を編んだと述べている。
したがってこの定本『塩田』が実質的には『雪白』につづく澤木欣一の第二句集のように思えると推察できるのである。
また定本『塩田』の「あとがき」ではつづけてこの句集の原稿を編みながらこの句集のなかに私小説風なテーマと社会的なテーマの二つが共存してからみ合っていることに気付いたと述べ、そのどちらも存在の理由があるものであるが、将来この二つのテーマのかかわり合い、結びつきをもっと密着させてゆきたいと思っていると将来への抱負を述べている。
このような抱負がどのように展開してゆくか又は変化してゆくのか著者のその後の句集によって解説を加えてゆきながら探求もしてゆきたいと思ったのがこの稿を起こそうとした発端である。
著者欣一には句集 『雪白』をはじめ、12冊の句集がある。つぎにその全句集名を列挙する。

(つづきは本誌をご覧ください。)