東京ふうが 30号(平成24年 夏季号)

銃後から戦後へ 22

東京大空襲体験記「銃後から戦後へ」その22

パトカー先導未遂事件

鈴木大林子

テレビのバラエティ番組などで《今思い出してもゾッとする出来事》といったタイトルで売れっ子タレントなどに語らせる番組がありますが、今回の失敗談はまかり間違えれば一生をフイにし兼ねない、正に今思い出してもゾッとするお話です。

時は前後しますが、まだ大学卒業者として国鉄に再入社する前、東京西鉄道管理局の一課員として勤務していた頃でした。工事契約係だった私は現場の業務指導ということで当時の原町田駅(現在の町田駅)構内にあった原町田保線区という管内でも小規模な現場へ出張して一応指導といえばいえるような話をした後、区長の接待で飲み会ということになりました。接待と言っても区長のポケットマネーからのものですから駅裏の居酒屋(記憶によれば当時全盛の(養老の滝)で、酒は二級酒か乙類の焼酎、肴は常番のモツ煮とイカ刺それに板ワサでも付けば上等といったところ、メンバーは区長と事務助役が管理職であとは工事契約担当の事務掛ほか数人といったところ、当時私の酒量は日本酒ならば二合、ビールならば二本が限界で自稱中戸(中戸というのは私の造語で、上戸と下戸の中間という意味)レベルでしたが、その日は体調がよくて上戸の下ぐらいは飲んだように憶えています。

(つづきは本誌をご覧ください。)