東京ふうが57号(令和元年春季号)

編集人が語る「東京ふうが」57号

「東京ふうが」編集人より

本郷民男さんの「韓の俳諧」を読むと、かつてはのんびりと日韓の俳句愛好者が句を諳んじていたことが分かる。お互いの国の文芸に敬意を表していた証であろう。

現在の日韓情勢を見るに、よく言われることは「民間では相手を好きだが、政治の世界の建前としては相手を許さない」という二律背反の考えに取りつかれているそうだ。

800年代に空海が遣唐使に混じって渡海したとき、漂着をしたために身分を証明するものがなくて、しばらく福建省の赤崖村に留められたのであったが、31歳の空海が漢文で地方長官宛に書いた嘆願書が詩的にも文法的にも素晴らしくて、長安へ行くことを許されたという。

また、役人、軍人に至るまで詩文に長けていることが当時の常識であったそうだ。

要するに現代のつまらないいがみ合いは、文芸に親しまない人間が政治を担っていること起因すると思う。たかが俳句であれ世の中の役に立てるように努力したい。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <36>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

寄り道 高野素十論 27 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「素十と虚子の親密さ」

15 曾良を尋ねて 第40回 ちょっと立読み 乾佐知子
116─ 松尾芭蕉の臨終に関する一考察 ─
117─ 『奥の細道』素龍本についての一考察(1)
118─ 『奥の細道』素龍本についての一考察(2)

18 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
96 – ゆっくりと花びらになる蝶々かな 小林凛
97 – ぬかるみに車輪とられて春半分 小林凛
98 – 「戦争記録画」を描いた絵描きたち
99 – 「無期限貸与」の形で戻った戦争記録画

25 旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路③ちょっと立読み 石川英子

32 随筆 「韓国俳話あれこれ」2ちょっと立読み 本郷民男

35 他誌掲載記事 『俳句四季(四月号)』『獅林(5月号)』

36 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

38 第18回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
(1) あるオランダ人通訳の言葉
(2) 森の破壊

35 あとがき

36 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <36> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)