東京ふうが72号(令和5年冬季・新年号)

韓国俳句話あれこれ 17

本郷民男

▲ 原三猿郎の後任

 昭和二年三月に韓半島の木浦モッポで創刊された『カリタゴ』に、原三猿郎の尽力で、「婦人俳壇」が設けられていました。ところが、昭和5年6月に三猿郎が死去し、『カリタゴ』8月号は、三猿郎追悼号です。でも、8月号の終わりの方に、会告があります。

       婦人雑詠欄設置 今回婦人雑詠欄を設け婦人の俳句研究の羅針盤たらしめやうと存じます。これは従来の婦人俳壇の連續とも、また新たに設けられたものとも見ることが出来ます。 右選句は杉田久女先生にお願ひいたしましたところ、非常に御多忙なるにも拘らず御快諾を得たことを皆様と共に喜びたいと存じます。…

 『カリタゴ』昭和三年十月号(婦人号)に、伏線が見られます。『カリタゴ』を杉田久女へ贈呈し、「婦人俳壇」に対する意見を求めた「夕顔の宿より」という久女の文が載っています。久女は木浦の女性俳人の力量を認め、課題句でなくて毎月雑詠に取り組むのがよいと提言しました。

 


(つづきは本誌をご覧ください。)