
あとがきより
俳誌「春耕」に平成十三年十月まで一○○回に亘り連載した「俳句食べ物歳時記」をまとめたものを修正加筆したのがこの『平成 初句の歳時記』である。
すでにある多くの食べ物歳時記に本書を加えるのはおこがましいと思ったが、長い間神田駿河台下と神楽坂で料理屋を二軒経営し、毎日魚や野菜に触れる機会があったことが切り口の違う食べ物歳時記になるのではないかと、思い切って上梓したものである。
平成バブル期の忙しい時期に執筆し、バブルが潰えて料理屋を廃業して撤収する時期に書き終えたので、平成バブル期の世相を色濃くしていることをお断りしておきたい。