
本書の特徴
- 蟇目良雨の平成11年から平成15年まで391句を所収。
あとがきより
菊坂周辺は樋口一葉が人生の大半を過ごしたところである、何をするにしても一葉の影がちらちらするとてもいいところだとしみじみ思っている。
句集名を『菊坂だより』と銘打った次第である。
自選十二句より
やはらかに膝を折りたる春の鹿
節太き筍料理子規の国
浮巣見に安土の城を傾けて
胸に受く赤子の重さクリスマス
子規の世の一途がかなし桜餅
忽然と空に吸はれし秋の蝶
年の瀬やなにはともあれ魚に塩
熱帯夜バーの女の
毛馬村に入る外套の襟立てて
菊坂に米を搗く音十三夜
子を産めぬ男さびしき水の秋
路地抜けてまた旅人や秋の風