「お知らせ」カテゴリーアーカイブ

蟇目良雨 第五句集『ここから』 第17回 文学の森大賞 受賞

『春耕6月号』(通巻551号)より転載

蟇目良雨第五句集『ここから』が第17回文學の森大賞を受賞しました。

◎文學の森賞とは・・・
 「文學の森賞」は、株式会社文學の森にて刊行されたすべての書籍を対象に選出する賞です。今回は2023年
4月~2024年3月末日の間に刊行された書籍が対象です。

 第一次選考は、月刊「俳句界」書評コーナー「この本この一句」担当者に依頼し、文學の森からの推賞を加えました。その後、能村研三氏、古賀しぐれ氏によって最終選考が行われ、両氏の合計順位により大賞、準大賞、入賞が決定しました。

◎第一次選考委員(敬称略)
 高橋健文 手拝裕任 土肥あき子
 かしまゆう 守屋明俊 吉田千嘉子
 福神規子 しなだしん

◎最終選考委員
能村研三(「沖」主宰)
古賀しぐれ(「未央」主宰)

◎贈賞式
2025年6月13日(金)に行われます。

◎最終選考委員選評より
〜能村研三先生 評〜
 今回大賞、準大賞を受賞された四名はいずれも七十代後半と八十代男性の方。私が日頃より敬愛されている方ばかりなので、今回の受賞はうれしく思っている。

 蟇目良雨さんの句集『ここから』は第五句集で、八年間寝たきりの奥様の介護を通して生と死を見つめ直しながら、その中に未来が開けることを信じて句を作られた。

 ここまでが看取りここからわが夜長
 看取る汗看取らるる汗生きてこそ
 打水やかなしきときは虹作り

 令和三年に奥様が亡くなられたときの「妻には本当に世話になった」という言葉には作者の優しいお人柄に触れたようで涙が出た。

〜古賀しぐれ先生 評〜
 最終選考候補の十五句集の中から、蟇目良雨氏の『ここから』、淵脇護氏の『鷹柱』、亀井雉子男氏の『朝顔の紺』に絞り込んでの選となった。

『ここから』は思われた奥様への愛の句に感動を受けた。〈夏掛を綺麗にかけて妻病みぬ〉〈病む妻によき眠りあれ夜香蘭〉〈看取る汗看取らるる汗生きてこそ〉。夫が妻を看取るという哀しい現状を受け入れて、妻のことを心底思っていると感じさせる句の数々。そして、〈束の間の方舟として半仙戯〉〈ピタゴラス定理を齧る雲母虫〉〈冴返る神武以来の不等式〉〈大悪人らしや虚子忌に雪の降り〉等々、ユニークな視点での個性豊かな句に惹かれた。

 前述の三句集はそれぞれに魅力があ甲乙つけ難いものであったが、蟇目良雨氏の『ここから』の看病しながら
も妻恋を詠み続ける思いに感動して一位に推した。

 『ここから』『鷹柱』『朝顔の紺』というタイトルには作者の句作の姿勢が込められ、それぞれに経験豊かな句集であると感じた。

◎受賞の言葉
 この度は文學の森大賞を戴き有難うございました。
 若い時に短歌や小説を齧り、俳句を始めた時には不惑の歳になっていました。私を俳句に導いて下さった先輩諸氏は生活を実直に詠う方ばかりで、私もこれまで様々な仕事をやってきたのでそれを俳句に詠ってきました。
 私もいつしか老いて、妻の老衰、介護、死を見届けました。そこから授かった作品が今回の句集『ここから』の内容になっています。私には更に老いが深まっており、芭蕉や蕪村や一茶も知らない老いの世界を体験しています。今回の受賞を機に更に老いの世界から授かれるのか突き詰めてみたいと考えています。「俳句は授かるもの」であると思うこの頃です。
 故・皆川盤水先生からは俳句の楽しさを学びました。先生がいつも言われていた「和楽」の心を大切に「春耕」の仲間とこれからも歩んでまいります。盤水先生に報告ができてうれしい限りです。
 最後に選者を務められた能村研三、古賀しぐれ両先生他、 文學の森関係者の方々に篤く御礼申し上げます。

◎自選五句
 風花はことば一片づつ光り
 涅槃図のうしろ雪降る飛騨の国
 白玉や雨は斜めに神楽坂
 吸うて吐く闇美しや青葉木菟
 ここまでが看取りここからわが夜長

(『ここから』より自選五句)

◆詳細は「俳句界」 2025年5月号をご覧ください。

蟇目良雨 第五句集『ここから』

『良き時代の中国俳句紀行』蟇目良雨著

 1996年から2009年の間の良き中国の各地を12ヵ所訪ねて俳句で表現した。勿論、中華料理の楽しみも併せて記す。
 上海ー西安ー返還前香港ー広州ー烏魯木斉ートルファンー麗江ー烏鎮ー杭州ー桂林ー陽朔ー成都ー大連ー旅順ー哈尓濱ーニンポウー河姆渡遺跡ー天台山ー紹興 (巻末に写真あり)。

 

 

価 格   2273円(税抜き)
発 行   2025年6月1日
著 者   蟇目良雨
発行所   春耕俳句会
ISBN978-4-9913225-1-8

<出版物の購入をご希望の方へ>
出版物の在庫・価格等についてのお問い合せは、こちらをご利用ください。

『ここから』蟇目良雨著

蟇目良雨 第五句集「ここから」『ここから』は私の69歳から76歳までの8年間の作品集である。

この頃の私は、皆川盤水先生がお亡くなりになった後の「春耕」誌での追悼特集、盤水先生遺句集『凌雲』、脚注名句シリーズ『皆川盤水集』の編集、更には、『皆川盤水全句集』の編集や刊行に携わり「春耕」編集長として寧日のない日々を送っていた。

一方、私の妻は八歳年長なので晩年を迎えてパーキンソン病が進み難病指定の体になっていた。嘗て
      妻泣くな夏至のお茶の水橋の上
と詠んだが、病気の進行が愈々厳しい段階に入っていたのである。

<中略>

「ここから」には変わらなければならない自分への叱咤激励の意味も込められている。句作りの際に写生の中に忬情を含ませることに心を砕いたがどれほど成功したか覚束ない。「ここから」もっと変わらなければならないと本句集をひも解いて改めて思った。

-あとがきより-

自選十句

風花はことば一片づつ光り

薄氷に水乗り上がり乗りあがり

白玉や雨は斜めに神楽坂

吸うて吐く闇美しや青葉木菟

はじまりとをはりを淡く流れ星

ここまでが看取りここからがわが夜長

金剛の水一滴や初硯

御汁粉の蓋濡れてゐる春の雪

羅を風のごとくに着て過ごす

成人の日や遙かなる山の照り

価 格   2800円(税抜き)
発 行   2023年6月15日
著 者   蟇目良雨
発行所   株式会社 文學の森
ISBN978-4-86737-159-6

<出版物の購入をご希望の方へ>
出版物の在庫・価格等についてのお問い合せは、こちらをご利用ください。

『九曲』蟇目良雨著

『九曲』蟇目良雨著

蟇目良雨の第四句集
著者62歳から69歳までの8年間の作品
を所収。

「九曲は幾曲がりする、九十九折れという意味であるが中国の大河である黄河のことも言う。折々中国に旅して、雄大な流れに心を癒されたことから名付けたものである。」  -あとがきより

自選十二句

柴の戸に待春の鳥いくたびも

臘梅や曾良は丹心つくしけり

安心といふさながらに落椿

芭蕉より蕪村の皃で花見かな

そら豆のつるんと飛んで五月場所

東京をびしょ濡れにして桜桃忌

そもそもは並んで卯波見しことに

吊つてある手水手拭金魚玉

鯔とんで秋をななめによぎりけり

十月の蝿いきいきと湯殿山

煤逃げのとぼとぼホロホロ鳥と歩く

古書街に立ち飲みをして年忘れ

現代俳句作家シリーズ耀5
価 格   2800円
発 行   2020年4月1日
著 者   蟇目良雨
発行所   株式会社 東京四季出版
印刷所   株式会社 シナノ
装 幀   髙林昭太
ISBN978-4-8129-0961-4

<出版物の購入をご希望の方へ>
出版物の在庫・価格等についてのお問い合せは、こちらをご利用ください。

季刊俳誌「東京ふうが」51号(平成29年秋季号)発行

[ 表紙の俳画 ]
つるし柿 蟇目良雨
[ 表紙の俳句 ]
秋耕のこゑどこからも明るくて 良雨

●曽良を尋ねて 第34回
乾佐知子
紀行エッセー高麗神社と釣瓶落し
石川英子
[ その他の内容 ]
名句逍遙 / 作品7句と自句自解 / 墨痕三滴(俳句選評) / コラム「はいかい漫遊漫歩」 / 遊ホーッ / 東京ふうが歳時記 / その他

最新号へ
既刊号一覧へ

季刊俳誌「東京ふうが」50号(平成29年夏季号)発行

[ 表紙の俳画 ]
夕立と燕 蟇目良雨
[ 表紙の俳句 ]
夕立の止みたることのいさぎよく 良雨

特集
●俳句から読み取るオノマトペ考
松谷富彦
●良雨 木曽の句
『俳壇』8月号「日本の樹木十二選」掲載より
蟇目良雨
[ その他の内容 ]
名句逍遙 / 作品7句と自句自解 / 墨痕三滴(俳句選評) /  高野素十論 / 曽良を尋ねて/ 台湾紀行Ⅲ / 遊ホーッ / 東京ふうが歳時記 / その他

最新号へ
既刊号一覧へ

蟇目良雨第三句集『菊坂だより』

蟇目良雨の平成11年から平成15年まで391句を所収。

「菊坂周辺は樋口一葉が人生の大半を過ごしたところである、何をするにしても一葉の影がちらちらするとてもいいところだとしみじみ思っている。

句集名を『菊坂だより』と銘打った次第である。」

 

自選十二句より

やはらかに膝を折りたる春の鹿

節太き筍料理子規の国

浮巣見に安土の城を傾けて

胸に受く赤子の重さクリスマス

子規の世の一途がかなし桜餅

忽然と空に吸はれし秋の蝶

年の瀬やなにはともあれ魚に塩

熱帯夜バーの女の

毛馬村に入る外套の襟立てて

菊坂に米を搗く音十三夜

子を産めぬ男さびしき水の秋

路地抜けてまた旅人や秋の風

春耕叢書 平29ー1
頒 価 2500円
2017年6月30日 印刷
2017年7月7日 発行
著 者   蟇目良雨
発行所  春耕俳句会
印刷所   渡邉製本
ブックデザイン 菫花舎

<出版物の購入をご希望の方へ>
出版物の在庫・価格等についてのお問い合せは、こちらをご利用ください。

季刊俳誌「東京ふうが」49号(平成29年春季号)発行

[ 表紙の俳画 ]
梅花 蟇目良雨
[ 表紙の俳句 ]
節分の空の真赤な日暮れかな 蟇目良雨

特集
●禁忌を越えた季重ね俳句考
松谷富彦
●謎めく芭蕉の物語
蟇目良雨
[ その他の内容 ]
欣一俳句の鑑賞 / 作品7句と自句自解 / 高野素十論 / 曽良を尋ねて/ 台湾紀行Ⅲ / 遊ホーッ / 東京ふうが歳時記 / その他

最新号へ
既刊号一覧へ

季刊俳誌「東京ふうが」48号(平成28年冬・新年季号)発行


[ 表紙の俳画 ]
初旭 蟇目良雨
[ 表紙の俳句 ]
悴みて学びしことも昔かな 蟇目良雨

〜追悼特集〜
高木良多先生を偲ぶ 五句選
●良多先生を送る言葉
蟇目良雨
●良多先生の作品(5句集より)
良雨抄出
●追悼の言葉と五句選
お茶の水句会会員
●良多書簡-『万象』主宰内海良太氏よりご提供-
最期の「ふうが・ずいひつ」大相撲の行司と俳人
高木良多


[ その他の内容 ]
欣一俳句の鑑賞 / 作品7句と自句自解 / 高野素十論 / 曽良を尋ねて/ 八千草日記 / 台湾紀行(終) / 遊ホーッ / 会友招待席・会友句添削と鑑賞-句を磨く-/ 東京ふうが歳時記 / その他

最新号へ
既刊号一覧へ

季刊俳誌「東京ふうが」47号(平成28年秋季号)発行

通巻47号 平成28年秋季号が発行されました

俳句とエッセイ「東京ふうが」平成28年秋季号

[ 表紙の俳画 ]
葡萄棚 
    蟇目良雨
[ 表紙の俳句 ]
小鳥来る吹き矢のやうにしなやかに 
   蟇目良雨


[ 今号の内容 ]

〜好評連載〜
●八千草日記
高木良多
旅と俳句 台湾紀行II原住民族の高地と町を訪ねて
石川英子
●遊ホーッ[アメリカ大統領の演説ですが、誰だか分かりますか?]
洒落斎


[ その他の内容 ]
欣一俳句の鑑賞 / 作品7句と自句自解 / 高野素十論 / 曽良を尋ねて/ 会友招待席・会友句添削と鑑賞-句を磨く-/ 東京ふうが歳時記 / その他

最新号へ
既刊号一覧へ