
本書の特徴
- 著者62歳から69歳までの8年間の作品を所収
あとがきより
九曲は幾曲がりする、九十九折れという意味であるが中国の大河である黄河のことも言う。折々中国に旅して、雄大な流れに心を癒されたことから名付けたものである。
自選十二句
柴の戸に待春の鳥いくたびも
臘梅や曾良は丹心つくしけり
安心といふさながらに落椿
芭蕉より蕪村の皃で花見かな
そら豆のつるんと飛んで五月場所
東京をびしょ濡れにして桜桃忌
そもそもは並んで卯波見しことに
吊つてある手水手拭金魚玉
鯔とんで秋をななめによぎりけり
十月の蝿いきいきと湯殿山
煤逃げのとぼとぼホロホロ鳥と歩く
古書街に立ち飲みをして年忘れ