東京ふうが82号(令和7年夏季号)

 9月25日で83歳になった。よくここまで夢中で生きてきたものだ。最近はメモをよく取るので、どんな時代の中を生きているか理解しているつもりだ。しかし、若い時代は夢中で生きてきたので、どんな時代を生きてきたのかさっぱりわからなかった。今は、NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」を見ながら自分の過去を確かめる作業を行っている。
 例えば、私が大学を卒業した1966年は不況で就職氷河期といわれたので、大学院に進み
嵐の過ぎるのを待って、2年後に東芝に入社出来た。この時の事情を番組を通して知った。即ち、1964年の東京オリンピックに金をかけ過ぎたために起きたデフレで世の中は不景気になった。しかし、この頃ベトナム戦争にアメリカが本格介入し、かつての朝鮮戦争特需のようにベトナム特需が日本にもたらされ、一気に特需景気に沸いて景気が好転したということを知った。そのお陰で、私は楽をして東芝に入社出来たのだった。
 このように、私たちの人生は、世界の歴史の歯車によって支配されていることを知り、世の中を知ることが生活を守るための知恵であることを今更ながら知ったのであった。
 鎖国時代にあれば世界のことは日本に関係ないと思われがちだが、日本人の関心などに関わらず、世界は貪欲に日本を狙っていたことが歴史で証明されている。
 暑かった夏はトランプ関税に揉まれたが、日本人の知恵をもってすればいずれ片づくことであろう。
 今号も、関野みち子さんの短篇を掲載しました、続きをお楽しみください。
 本郷さんの「韓国俳句話あれこれ」も大変興味のある文章です。

蟇目良雨

目次


ショートショート002 白昼夢  関野 みち子
 「白昼夢までからめとる捕虫網   蟇目良雨」 

作品7句と自句自解 ちょっと立読み 

8素十名句鑑賞・第20回 ちょっと立読み蟇目良雨

9高野素十年表・3本郷民男

17小説002 「箱の中」 ちょっと立読み関野 みち子

25私の愛唱句 16

28コラム「はいかい漫遊漫歩」『春耕』より  ちょっと立読み松谷富彦
 

220 テキヤ俳人・正道寺宏一の話(上)
221 テキヤ俳人・正道寺宏一の話(下)

 

30随筆・韓国俳話あれこれ 27  ちょっと立読み本郷民男
 歌原蒼苔の戦地エピソード・大邱と農業 ほか 

33本郷民男著「韓国俳句話あれこれ」を読んで楽しむ
「子規の家系」と「化鳥」について
蟇目良雨

34墨痕三滴 (俳句選評)蟇目良雨

35あとがき

表3東京ふうが歳時記 <61>編集部選
 
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