春耕主宰としてしっかりやれと皆川盤水先生に囁かれているようなので、今後は本郷民男さんに編集長をお任せして、私は表紙の俳画だけ書かせて頂くようにしました。本郷さんの文学博士らしく妥協を許さない誌面作りと新たな方向が期待さえます。みなさまご協力ください。
「東京ふうが」67号 あとがきより 蟇目良雨
春耕主宰としてしっかりやれと皆川盤水先生に囁かれているようなので、今後は本郷民男さんに編集長をお任せして、私は表紙の俳画だけ書かせて頂くようにしました。本郷さんの文学博士らしく妥協を許さない誌面作りと新たな方向が期待さえます。みなさまご協力ください。
「東京ふうが」67号 あとがきより 蟇目良雨
霜柱がだんだん溶けて崩れゆくさまをみて不図おのが身を省みれば、心萎えている自分に気付いたという内容である。作者の心が悲しみに崩れているのは最愛のご主人を亡くされたから。静かな詠いぶりでご主人を悼んでいる。
「禁断の蜜」と読み間違える面白さがこの句にはある。蜜ではなく密も平時なら容易に手に入るものであるが新型コロナウイルス禍の状況では禁止されたも同様である。そんな中で焼鳥屋の煙まみれのざわついた密に身を置いた喜びを表した。ささやかな禁断破りの喜び。
元朝に神仏に灯明を上げることを初燈という。起きてすぐ父から「初燈あげたか」と声がかかったのだが、家長の父がするべきことを頼まれることは父が臥せっているのかも知れない。在りし日の一こまであろう。
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1 | 名句逍遙 <46> | 蟇目良雨 |
皆川盤水秀句鑑賞 | ||
高木良多秀句鑑賞 | ||
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2 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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7 | 榎本星布の案山子の句 | 本郷民男 |
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8 | 素十俳句鑑賞・100句 (6)ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
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9 | 他誌掲載『少年』11月号 「稲田眸子の俳句紀行」より良雨論 |
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10 | コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み (『春耕』より) |
松谷富彦 |
144 落花生老婆の口に三時間 斜断鬼(立川左談次) 145 淋しさは左右に飛び散る放尿時 三魔(山藤章二) 146 続「駄句、この粋と恥」 147 続々「駄句、この粋と恥」 148 長らへてわれもこの世を冬の蠅 永井荷風 149 『笑う子規』(ちくま文庫)が面白い |
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16 | 永青文庫 秋季特別展 「柿衛文庫名品にみる芭蕉展」 | |
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17 | 私の愛唱句 | |
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20 | 随筆 「韓国俳話あれこれ」12ちょっと立読み | 本郷民男 |
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23 | 満州引揚体験記 | 荒木静雄 |
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26 | 墨痕三滴(佳句短評) | 蟇目良雨 |
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28 | 歳時記のご先祖様 ① | 本郷民男 |
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31 | 他誌掲載・良雨句 『愛媛新聞』2021.9.4 「季のうた」 |
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31 | あとがき | |
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32 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <46> | 編集部選 |
それまで平穏だった池の水面が鯉によって裏返させられた。処暑の気分を鯉も確かめたかったのかしら。
水を裏返すと表現したことにより幾ばくかの面積の水が鯉の下半身によって持ち上げられ裏返されたようにスローモーションで見える。
敗戦日を境に人生が変わってしまった人は多いことだろう。特に外地で終戦を迎えた人々は猶更のこと。作者の満州からの引き揚げ記が本号に掲載されている。戦争はしてはいけないと作者は一句に籠める。
石叩は虫を求めて地面を気ままに歩き回る。しかも長い尻尾を地面に打ち付けながら。ちょっと石叩さんそこは平将門が眠る地だから将門を起こしてはなりませんよ。将門の祟りは恐ろしいものなのよ。
人生の総括をそろそろ考え始めている。始まりがあれば終りがある。妻の死もその一つ。年長の妻を丁寧に送ることができて安心している。次は私の番だがそれまでにやることが多い。しかし人生百迄もと望むことは欲深か過ぎるが、あと5年はしっかり頑張ろうと思う。
野ざらしを心に風のしむ身哉 ばせを
されこうべになる覚悟で旅に立つ芭蕉の一句だ。
私の今後の5年間はまさに芭蕉の覚悟で歩くつもりだ。
どんな世界が待っているか楽しみである。
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1 | 名句逍遙 <45> | 蟇目良雨 |
皆川盤水秀句鑑賞 | ||
高木良多秀句鑑賞 | ||
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2 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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7 | 三圍神社の雨乞発句 | 本郷民男 |
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8 | 素十俳句鑑賞・100句 (5)ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
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10 | コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み (『春耕』より) |
松谷富彦 |
138 うちの子でない子がいてる昼寝覚め 米朝 139 交る蜥蜴くるりくるりと音もなし 加藤楸邨 140 ばさばさち股間につかふ仰木かな 玩亭 141 俳号「玩亭」は石川淳(夷斎)の命名 142 玩亭句集『七十句 八十八句』(上) 143 玩亭句集『七十句 八十八句』(下) |
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24 | エッセイ 桃青と風来坊は季吟が芭蕉に与えたか | 本郷民男 |
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20 | 曾良を尋ねて 第49回 《最終回》ちょっと立読み | 乾佐知子 |
143─故郷に集う「あじさい忌」
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14 | 他誌掲載・良雨句 『港湾空港タイムス』2021.6.28 《四季有情》 |
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24 | 随筆 「韓国俳話あれこれ」11ちょっと立読み | 本郷民男 |
韓の秋の空・雨や霧など ほか | ||
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22 | 墨痕三滴(佳句短評) | 蟇目良雨 |
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27 | あとがき | |
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28 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <45> | 編集部選 |
浴室の外にある風呂の焚口から母が湯加減を訊ねている。換気窓を開けて返事をする作者。ふと目をやると栗の花が見える。懐かしい世界。
作品に固有名詞として人物が出ている場合、その人物を匂わせてくれる関係性が必要。中村草田男の無心さはまさに赤子のようであるから、嬰児が機嫌よく涎を流している景色は草田男忌に相応しいと思う。
ジャズを聴きバーボンを楽しむ夏の夜の解放感に溢れる一句。作者の心の若さが作り上げたもの。いつまでも続けて欲しい心の若さ。
スペイン風邪で大正七年十一月に亡くなった、私の会ったことのない祖母の場合は普通の葬式が行われたようである。父が残してくれた文書の中から祖母の香典帖が見つかった。
祖母は岩手県宮古市の鍬ケ崎で生まれ育ち32歳のときスペイン風邪で亡くなった。遺体は桶の棺に入れて運び土葬され、葬儀には166名の参列者の名と香典の金額、又は品物が記されている。パンデミックに対する知識が無いと言えばそうかもしれないがせめてもの供養になったと思う。若くして亡くなり、若い時の美しい写真しか残さなかった祖母を香典帖を眺めながら想像している。
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1 | 名句逍遙 <44> | 蟇目良雨 |
皆川盤水秀句鑑賞 | ||
高木良多秀句鑑賞 | ||
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2 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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7 | 江戸花暦の早春 | 本郷民男 |
8 | 素十俳句鑑賞・100句 (4)ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
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11 | 曾良を尋ねて 第48回 ちょっと立読み | 乾佐知子 |
140─榛名山に消えた仙人は誰か
141─曾良は松平忠輝の「御落胤」か
142─謎の旅人、曾良は丹心つくしけり |
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14 | 他誌掲載記事 『WEP俳句通信』121号より 《近詠7句 深川知子》 |
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15 | 随筆 「韓国俳話あれこれ」10ちょっと立読み | 本郷民男 |
韓の夏空・風土と俳人 ほか | ||
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18 | コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み (『春耕』より) |
松谷富彦 |
132 鐘ひとつ売れぬ日はなし江戸の春 宝井其 133 七は「ひち」である 134 致死量の月光兄の蒼全裸 藤原月彦 135 肉弾の夜ごと夜ごとの世紀末 月彦 136 歳時記から消えた怖い季語の話 137 コレラとニホンオオカミの話 |
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24 | 墨痕三滴(佳句短評) | 蟇目良雨 |
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25 | あとがき | |
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26 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <44> | 編集部選 |
水鳥が太古のころから日本に渡ってくる事実に感動したのだろう。力強い一句になった。
蜷の道は水底に当てどなく描かれている。その形が作者の青春の彷徨に似ているとしみじみ感じ入っている。
雛僧は小僧のことで「すうそう」「こぞう」「ひなそう」などと読む。小僧が結界を掃除中に箒にからむ春の蝶。のどかな心なごむ光景だ。
ワクチンも当にならないことも言われ、とにかくやり過ごすことが最大の防御に思える。人と人の交流が人間の生存理由だが、交流を断念させるのが新型コロナウイルスである。これは生物学的には何か意味があるのかもしれぬ。
オリンピックも開催出来ないと思う。
こんな時だからこそコロナ地獄のことを記録し続けてゆきたい。
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1 | 名句逍遙 <43> | 蟇目良雨 |
皆川盤水秀句鑑賞 | ||
高木良多秀句鑑賞 | ||
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2 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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7 | 正月の句について | 本郷民男 |
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8 | 素十俳句鑑賞・100句 (3) ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
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11 | 随筆 「韓国俳話あれこれ」9ちょっと立読み | 本郷民男 |
荷物を担ぐ人 汗で動く乗り物 ほか |
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14 | 良雨第4句集『九曲』鑑賞 『秋麗』藤田直子主宰からの手紙 |
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17 | 他誌掲載記事 『雲』2021年1月号 『門』2020年12月号 『伊吹嶺』2020年11月号 より |
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20 | コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み (『春耕』より) |
松谷富彦 |
126〜131 ─新興俳句、何が新しかったのか |
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26 | 曾良を尋ねて 第47回 ちょっと立読み | 乾佐知子 |
138─榛名山の白髪の翁は誰か
139─白髪の老翁と正願寺開基河浄西
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28 | 墨痕三滴(佳句短評) | 蟇目良雨 |
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30 | あとがき | |
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31 | 他誌掲載記事 『俳句年鑑』2021年版 『田』2020年12月号 より |
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32 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <43> | 編集部選 |
孤独地獄などという言葉は使うまいと思ってきたが、妻の危篤を見てやがて来る孤独な生活を思うと妙に親しい言葉になってきた。寒晴の路地裏に立ち空を見上げていた時の感懐である。
杉田久女が亡くなって七十五年が経った。久女に思いを馳せる人は一月二十一日が近くなると色々感懐に耽る。松葉の細かい針にまでしんしんと降り積もる雪を見て、寒さの中で孤独死した久女を偲んでいるのである。
江戸っ子の何でも見てやろうという野次馬根性が身に着いた漱石と子規がいたことは日本にとって幸せであった。英文学を学んだといえ根は東洋の美が沁みついていた漱石は何でも禅問答のように落着しないと気が済まない。鏡子夫人以下子供達にも無理難題を吹きかけたらしい。作者も小倉女らしく筋を通さなければ済まない性格。だから人間関係は楽しいのだ。
この句はある年代に達しないとなかなか理解できないのではないだろうか。離婚や病没による別れなどが待ち受けている現世で夫婦のままで老境を迎えることは実は奇跡に近いことだと思うようになった。月並みのことを言っているようだがそれが尊いと思える年代になったし俳句の読みも深まったと思う。