令和5年春季号 佳句短評

東京ふうが 令和5年春季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報457回〜459回より選

大谷のミサイル打球風光る  小田絵津子

WBCの試合は、大谷翔平君がいたためか国民の多くが観戦した。投手と打者の二刀流ながら彼の打つ打球は速い。それをミサイル打球と表現してみんなが納得するほど実際に速いのである。大谷恐るべし‼

水瓶に盈ちゆく春の愁ひかな  河村綾子

水瓶(すいびょう)といって観音様が左手に下げているものは本来聖水が入っているが、この中に春の愁が満ちてゆくと見立てた感性が光っている。

佐保姫来る「さうだ床屋へ行かなくちやあ」  古郡瑛子

春の使者佐保姫が来るので髪を綺麗に整えて待ってあげようという句意。床屋だから男だろうが、婆さんになると床屋で髪を切ってもらい髭を剃って貰ったりすることもある。