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東京ふうが72号(令和5年冬季・新年号)

編集人が語る「東京ふうが」72号 「東京ふうが」は、私を俳句に導いて下さった高木良多先生のために毎月の句会報でなく季刊で発表する場を作って差し上げようと蟇目が企画したのであったが、外注製作するほどの余裕も無く、自分で両面カラー印刷して20部ほど作り始めた。当時私が持っていたリコーのジェルジェットインクの印刷機は、A5から両面印刷できる優れもので重宝した。欠点はインクのコストが高いのと時間がかかることだった。一日がかりで印刷し、リボンテープで背を化粧したり、本作りの楽しさを味わうことが出来たと思う。
 現在は菫花舎の亘さんのお手伝いによって実に簡単に冊子に仕上げて頂いている。松谷さんや本郷さんの健筆で誌面が充実していることは嬉しい。
 本郷さんの朝鮮半島時代の「カリタゴ」にある杉田久女が選句や選評を書いたという記事は、久女研究の上で貴重な記事ですのでよく読んで頂きたい。
 乾さんの「曾良を尋ねて」が終了し寂しくなったが、「曾良を尋ねて」は『曾良の正体』(草思社刊)に変身して日本中を飛び回っているのでご安心ください。
 今後も「東京ふうが」を利用して書きたいことがあったら書いていただきたいと思います。人生は一瞬であることを忘れずに楽しんでゆきましょう。
蟇目良雨

 

目次


名句逍遙 <51>  蟇目良雨
  皆川盤水秀句鑑賞  
  高木良多秀句鑑賞  

作品7句と自句自解ちょっと立読み  

悪い年は早く暮れよ  小林一茶  

素十俳句鑑賞・100句  (11)ちょっと立読み 蟇目良雨

10 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み (『春耕』より) 松谷富彦
  174 マグロは赤身が一番!?
175 マグロの立身出世
176 春寒やしり尾かれたる干鰈 村野四郎
177 俳人の愛する身も蓋もない醜名の〝名花〟
178 ある程の伊達し尽して紙子かな 斯波園女
179 俳句を取るか小説を取るか
 

16 私の愛唱句 6  

19 随筆 「韓国俳話あれこれ」17ちょっと立読み 本郷民男
  原三猿郎の後任・『カタリゴ』婦人雑詠 杉田久女選 ほか  

22 歳時記のご先祖様 ⑥ちょっと立読み 本郷民男

25 武蔵野散歩 本郷民男
  武蔵の國・旧境村の三俳人(欣一・綾子・秋を)  

28 【BOOKS】本のご紹介
  『曾良の正体』乾佐知子著/『曾良を尋ねて』に寄せて(読後感)  

31 あとがき

32 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

34 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <51> 編集部選
 

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和4年秋季号 佳句短評

東京ふうが 令和4年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報450回〜453回より選

盆僧の茶髪にピアススケボーで  大多喜まさみ

 この句には驚いたので作者に聞いたら、こういう若い僧がいると言う。仏教界が人々に寄り添う時代になってお坊さんらしからぬ風体をすることも影響しているか。個人的には地獄を説くより好ましいと思っている。

ヨコハマのブルーライトや鰡の跳ぶ  高橋 栄

 当然「ブルーライトヨコハマ」が頭の隅にある。横浜港のブルーライトに照らされた夜の鯔に新味がある。

夕風やあをあを冷ます月見豆  弾塚直子

 月見豆(枝豆)を青々と冷ますところに俳句の味がある。一種の冒険だが成功していると思う。


東京ふうが71号(令和4年秋季号)

編集人が語る「東京ふうが」70号 乾佐知子さんの「東京ふうが」に連載した「曾良を尋ねて」が一冊にまとまった。十数年の努力の結晶である。今度の仕事で乾さんのねちっこさが分かった。何度も何度も校正する態度は研究者そのものだ。乾さんは学者ではないが、疑問点を資料を使って追い求めて行く態度は見事だ。かくして労作の「曾良を尋ねて」が完成した。正月休みにゆっくりと読んでもらいたい。徳川家康の六男・忠輝が絡んだ曾良であるというのが乾さんの論である。令和五年のNHK大河ドラマは「徳川家康」である。何か関係が分かるかもしれないので両方見て欲しい。三谷幸喜の「鎌倉殿の十三人」はどの人物像もはっきり描かれ実にためになったと感謝している。
深川知子さんの第二句集が角川書店から来春刊行される予定。これも楽しみだ。私も第五句集に挑戦中。頑張ります。
蟇目良雨

 


名句逍遙 <50>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

日本の雁 自画自賛 一茶

素十俳句鑑賞・100句  (10)ちょっと立読み 蟇目良雨

10 私の愛唱句 5

13 随筆 「韓国俳話あれこれ」16ちょっと立読み 本郷民男
木浦の女性俳壇・『カリタゴ』第二号の23,24頁 ほか

16 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

18 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
168 散る花を追掛て行く嵐かな 権中納言 藤原定家
169 俳聖が愛した若き弟子・杜国
170 虚子は愛弟子をどう評価していたか(上)
171 虚子は愛弟子をどう評価していたか(下)
172 鬼平が愛した軍鶏鍋屋「五鉄」
173 消えゆく古季語、生活季語を守る努力

24 俳人・春耕と一茶 本郷民男

28 歳時記のご先祖様 ⑤ちょっと立読み 本郷民男

31 あとがき

32 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <50> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

東京ふうが70号(令和4年夏季号)

編集人が語る「東京ふうが」70号今年の9月で満80歳を迎えた。幼い頃に小児麻痺と肺浸潤を患い、病弱で小学校低学年を何とかやり過ごし、少年時代は足を引きずりながらも負けん気で挑戦し続けここまでやって来た。自分では足の割ることに余り気が付かないのだが、大きな鏡やガラスに映る我が身はやはりあまり格好の良いものではない。気分が落ち込む瞬間だ。それでも人は人、自分は自分と割り切ればまた元気な自分に戻る。
高木良多先生から俳句の径に導かれて以来、大勢の仲間に恵まれてここまで来られたことを有難いと思う。盤水先生からは風狂の俳人の生き方を学び密かに目標にしている。今後、どのように進むかを「東京ふうが」を舞台に歩んでゆきたいと思う。
乾佐知子さんの労作『曾良を尋ねて』が1冊に纏められることになった。読み返してみて実に面白い読み物になっていた。通底しているのは家康の六男松平忠輝の隠し子が曾良ではないかという前提である。私は松平忠輝に詳しくなかったのだが、隆慶一郎原作、横山光輝画のコミック『捨て童子 松平忠輝』上中下3巻を読み、父・家康には可愛がられたが、兄・秀忠に憎まれた事情が良く分かった。小説かもしれないが頭の整理が良く出来た。『曾良を尋ねて』をこのように実社会に対比させて読むと迫真に迫ってくる力があることを感じた。完成が楽しみです。
蟇目良雨


名句逍遙 <49>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

仙鶴「富士に象」 本郷民男

素十俳句鑑賞・100句  (9)ちょっと立読み 蟇目良雨

10 私の愛唱句 4

13 随筆 「韓国俳話あれこれ」15ちょっと立読み 本郷民男
朝鮮俳句選集・神仙爐俳壇より ほか

16 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

18 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
162 廃道も花火ひらいて瞬けり 又吉直樹
163 昭和とともに消えた赤帽
164 自転車に乗った留学生、漱石
165 自転車の三角乗りを知っていますか
166 鬼平も好んだ一本饂飩の話
167 ネギマ鍋(汁)の栄枯盛衰

25 恋人の腕の中で星になった俳女 本郷民男

28 歳時記のご先祖様 ④ちょっと立読み 本郷民男

31 あとがき

32 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <49> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和4年夏季号 佳句短評

東京ふうが 令和4年夏季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報447回〜449回より選

蹲踞して闇に真向かふ蟇  蟇目良雨

蹲踞する姿勢が人間臭いか。孤独な(人間が見ての話だが・・。)蟇が何を待っている闇なのだろうか気になる。

夕焼を縦に映して摩天楼  松谷 富彦

夕焼を「縦に映す」とは大胆な表現。摩天楼なら納得できる。

方丈に如来と伴に昼寝かな  大多喜 まさみ

方丈で如来さまと一緒に昼寝出来るのはお寺の家族くらいだろう。作者を知って納得した。在りそうでなかった作品。


東京ふうが69号(令和4年春季号)

編集人が語る「東京ふうが」69号

「東京ふうが」は、お茶の水句会の会員の勉強の場である。季節ごとに纏める仕事は積もり積もって自身の肥やしになっていると確信する。他では発表出来ないことを自由に発表する場にもなっている。私はここで「寄り道 高野素十」として高野素十を発表してきたが、素十の時代の俳句の質を後世に残すことをこれからも続けたい。
「春耕」誌の主宰になったために研究にさける時間が少なくなったため、ご迷惑をおかけしていると思う。長い目で見守っていただきたい。汲めども尽きぬ先人がいることを幸いに思う。
乾佐知子さんが本誌や春耕誌で連載した「曾良を尋ねて」は、現在、単行本にするべく動いています。ご期待下さい。
ロシアがウクライナに侵攻して4ヶ月経過。一進一退の膠着状態になっている。早く平和が訪れることを期待する。ウクライナ支援の催しに参加して、私の胸には黄色と青のウクライナのピンバッジが付けられています。
蟇目良雨


名句逍遙 <48>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

六義園の春 本郷民男

素十俳句鑑賞・100句  (8)ちょっと立読み 蟇目良雨

10 私の愛唱句 3

13 随筆 「韓国俳話あれこれ」14ちょっと立読み 本郷民男
慶尚南道の晋州八景 ほか

16 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

18 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
156 まな板に小判一枚初鰹 室井其角
157 長崎のわらべ歌「でんでらりゅう」
158 食いしん坊作家の好んだ料理
159 江戸っ子のファストフードだった天ぷら
160 二十五音の長大な季語の話
161 ほうづきや可愛がられてえぐらるゝ 本荘幽蘭

24 他誌掲載・俳句鑑賞
現代俳句の四季(39)『たかんな』2022年3月号
現代秀句紹介季刊『群青』春号(191号)

25 『新版大歳時記』春 本郷民男

28 歳時記のご先祖様 ③ちょっと立読み 本郷民男

31 あとがき

32 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <48> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

東京ふうが68号(令和3年冬季・新春号)

編集人が語る「東京ふうが」68号

「東京ふうが」編集人より

編集人が語る「東京ふうが」68号

ロシアの特にプーチンの正体が段々はっきりしてきて、ウクライナから引き上げるのは時間がかかりそうな気配です。戦国時代が再び現れるなんて人間という動物には本能による限界があるのですね。日本は政治的には2等国ですが、戦争の匂いが未だしないところが1等国と言えましょうか。背伸びしないで己を足るを知る国家になって欲しいと願っています。
風雅とは戦乱の隙間の寛ぎなのかも知れません。
良雨

 

目次


名句逍遙 <47>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

蕪村の宇都宮歳旦帖 本郷民男

素十俳句鑑賞・100句  (7)ちょっと立読み 蟇目良雨

10 私の愛唱句 (2)

13 随筆 「韓国俳話あれこれ」13ちょっと立読み 本郷民男

16 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
150 虚子は社会性俳句をどう読んだか
151  沢木欣一の決意
152  「消息を絶った女流俳人」(上)
153  「消息を絶った女流俳人」(下)
154  蕉門の鬼才、野沢凡兆の意固地、偏屈
155  鬼才、野沢凡兆の優しき妻、俳女羽紅

22 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

24 歳時記のご先祖様 2 本郷民男

27 あとがき

28 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <47> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和3年冬季・新年号 佳句短評

東京ふうが 令和3年冬季・新春号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報442回〜444回より選

くづるるは吾が心かも霜柱 小田絵津子

霜柱がだんだん溶けて崩れゆくさまをみて不図おのが身を省みれば、心萎えている自分に気付いたという内容である。作者の心が悲しみに崩れているのは最愛のご主人を亡くされたから。静かな詠いぶりでご主人を悼んでいる。

禁断の密の楽しさ焼鳥屋  野村雅子

「禁断の蜜」と読み間違える面白さがこの句にはある。蜜ではなく密も平時なら容易に手に入るものであるが新型コロナウイルス禍の状況では禁止されたも同様である。そんな中で焼鳥屋の煙まみれのざわついた密に身を置いた喜びを表した。ささやかな禁断破りの喜び。

初燈あげたかと問ふ父の声  河村綾子

元朝に神仏に灯明を上げることを初燈という。起きてすぐ父から「初燈あげたか」と声がかかったのだが、家長の父がするべきことを頼まれることは父が臥せっているのかも知れない。在りし日の一こまであろう。


東京ふうが67号(令和3年秋季号)

編集人が語る「東京ふうが」67号


名句逍遙 <46>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

榎本星布の案山子の句 本郷民男

素十俳句鑑賞・100句  (6)ちょっと立読み 蟇目良雨

他誌掲載『少年』11月号
「稲田眸子の俳句紀行」より良雨論

10 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
144 落花生老婆の口に三時間 斜断鬼(立川左談次)
145 淋しさは左右に飛び散る放尿時 三魔(山藤章二)
146 続「駄句、この粋と恥」
147 続々「駄句、この粋と恥」
148 長らへてわれもこの世を冬の蠅 永井荷風
149 『笑う子規』(ちくま文庫)が面白い

16 永青文庫 秋季特別展 「柿衛文庫名品にみる芭蕉展」

17 私の愛唱句

20 随筆 「韓国俳話あれこれ」12ちょっと立読み 本郷民男

23 満州引揚体験記 荒木静雄

26 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

28 歳時記のご先祖様 ① 本郷民男

31 他誌掲載・良雨句
『愛媛新聞』2021.9.4
「季のうた」

31 あとがき

32 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <46> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和3年秋季 佳句短評

東京ふうが 令和3年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報438回〜440回より選

処暑の水裏がへしては鯉の跳ね 小田絵津子

それまで平穏だった池の水面が鯉によって裏返させられた。処暑の気分を鯉も確かめたかったのかしら。
水を裏返すと表現したことにより幾ばくかの面積の水が鯉の下半身によって持ち上げられ裏返されたようにスローモーションで見える。

わが生涯一線画す敗戦忌  荒木静雄

敗戦日を境に人生が変わってしまった人は多いことだろう。特に外地で終戦を迎えた人々は猶更のこと。作者の満州からの引き揚げ記が本号に掲載されている。戦争はしてはいけないと作者は一句に籠める。

起こしてはならぬ将門石叩 島村若子

石叩は虫を求めて地面を気ままに歩き回る。しかも長い尻尾を地面に打ち付けながら。ちょっと石叩さんそこは平将門が眠る地だから将門を起こしてはなりませんよ。将門の祟りは恐ろしいものなのよ。