令和7年冬季・新年号 佳句短評

東京ふうが 令和6年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報477回〜480回より選

ひとつ家に表札三つ鳥総松  深川知子

少なくとも三世帯が同居している家の前に、鳥総松が立てられている。大家と店子の関係か、それとも三世代の家族なのか知りたい。


シリウスを教えてくれし人と老ゆ  田中里香

青春俳句。嘗て語らった人と今共に老いを迎えている。シリウスが知的で詩的だ。


とくとくと脈打つやうに冬入日  弾塚直子

冬の落日が火の玉のように地平線に沈むとき、生ま生まと燃えて脈打つ心臓に見立てたか。