シドッチや釣瓶落しの牢屋敷

蟇目良雨講評
東京ふうが 平成28年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報378回〜380回より選

シドッチや釣瓶落しの牢屋敷  芳子

いつも類想を避けた句を提示して我々を楽しませてくれる。シドッチは禁教令により茗荷谷のキリシタン屋敷に収監されたイタリア人司祭。新井白石と知り合い影響を与えた。数年間の幽閉の後、地下牢で獄死。作者はその死を悼んでいる。「釣瓶落し」に歴史の流れの速さ、無情さが表現されている。