平成30年秋季佳句短評

東京ふうが 平成30年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報401回〜404回より選

鎧より香の立ちのぼり菊人形  小田絵津子

言葉で鎧というと地味な感じがするが、色彩豊かな鎧が多い。鎧の部分に色とりどりの菊が使われたために香が濃く立ったというのが句意。

鳴砂山の砂の声きく夜寒かな  花里洋子

敦煌の鳴砂山の砂が風に流されて音を立てる。旅宿の夜寒の光景。しみじみと味わいたい。

野分中憲法守る投票へ  大多喜まさみ

憲法改正を目論む輩が跋扈している。仮に傷がある憲法でも直し直し使えば、それはポンコツでもなく「戦争放棄」を詠う地球上で一番輝く憲法であり続けるはずである。野分の中でも投票に行き憲法を守る意思を表している。