季刊俳誌東京ふうが 平成28年冬季新年号通巻44号

東京ふうが44号(平成28年冬季新年号)

「旅と俳句」 台湾紀行(二)

石川英子

一、  臺灣紀行序
二、  三月十二日(木)出発
三、  三月十三日(金)国立故宮博物院見学
四、  三月十四日(土)台北市中心街観光
五、  三月十五日(日)特急列車で台南へ
六、  三月十六日(月)安平古堡見学・高雄
七、  三月十七日(火)台北へ帰る
八、  三月十八日(水)帰国
九、  李登輝氏の「いま日本に望むこと」他
十、  あとがき


七、三月十七日(火)台北へ帰る

6時半起床、NHKの『マッサン』と『朝イチ』を見てからホテルのバイキング朝食。蛤入り粥、炒り玉子、野菜炒めと帆立貝の焼き物、隠元豆の煮物と西瓜。団体客が居らず静かである。欲張った観光をせずに半日体を休めて、11時半チェックアウト。ロビーの赤いランタンの前で、ホテルマンが私達の写真を撮ってくれた。

椰子さやぐ台南高雄春の雲   英 子

北回帰線の標塔鳥雲に     英 子

 12時半、台南発台北行特急列車出発。緑一色の稲田の彼方に点々と白鷺が吹かれる。イクラと鮭の親子丼弁当に舌鼓を打つ。列車が北回帰線標塔のある嘉義駅に着く。此処の嘉義農林学校の前身校は日本統治時代に甲子園の野球大会で準優勝を果し、今般それが臺灣で映画化された。日本語での会話が多いそうであるから、日本で封切られたら是非見たい。
眠っている内に桃園駅を過ぎて、16時50分、終点の台北駅に着いた。駅構内のショッピングモールで土産の菓子折を買った。パイナップルを原料とする臺灣焼菓子だが味はどうか。源吉兆庵に三月節句の七段飾りの雛人形が飾られていた。どら焼は、松戸伊勢丹の吉兆よりも大分高価である。土産用の箱詰の上菓子は、12個詰2千2百89元、約9千百円。1時間ばかり台北駅のショッピング街を遊び、名残りを惜しんでからタクシーでノボテル臺灣桃園空港ホテルへ。18時着。ロビーで飛行機の便名を伝える。5時にモーニングコール、6時にホテルの車で空港迄送ってくれるよう頼んだ。
夕食のバイキングは、臺灣人の若い板前が鮪と鮭と鯛を薄く切ってトレーに並べ、酢飯を握って置いて、客が好みの鮨を作って食べる。手付きを見る限り、日本で修業した板前とはとても思われない。デザートは南国の果物が山盛り。アイスクリームは好みで選び、海草、茸、野菜サラダと肉は大きな塊のローストを好みで削ぎ切りにしてもらう。私の記憶に留めるべく、息子は最後の宿を最高のホテルにした。24時間営業のカフェで、チーズケーキとコーヒーと氷菓を頂き、今回の旅の食べ納めとす。
来なければ理解出来ない臺灣という国と日本との拘り合いの歴史の悲喜を見る事が出来た。23時、鞄に土産と思い出を詰めて就寝。


(つづきは本誌をご覧ください。)