季刊俳誌東京ふうが 平成28年冬季新年号通巻44号

東京ふうが44号(平成28年冬季新年号)

編集人が語る「東京ふうが」44号

「東京ふうが」編集人より

季刊俳誌東京ふうが 平成28年冬季新年号通巻44号

 田島和生著『振興俳人の群像「京大俳句」の光と影』を読む機会があり感じたのであるが、かの大戦中に、俳句のような手すさびの文芸に携わっていた人達を何故あのように過酷なまでに苛めたかは、官憲が俳句の持つ影響力に恐れをなしていたからだと思う。そういう意味で戦後出た桑原武夫の「第二芸術論」は的外れな論であった。俳句は十分に人の心を揺さぶるいわゆる芸術の力を持っていたからである。
桑原の執筆のきっかけは雑誌『世界』の編集者から埋め草のような文章を書いてと頼まれ「一晩で」書いたのがあの「第二芸術論」である。読者というものは誌面から情報を受け取るだけで、その裏に起きている恐ろしい事態(例えば「京大俳句事件」)など知る由もないのである。桑原もその意味では俳句も短歌も知らない「三尺の子」であり、だから純真に俳句を批判できたのだと思う。そして言論を統制していたGHQのお眼鏡に叶っていたということも忘れてはいけない。背景を知ることの大切さをこの書から学んだ。
蟇目良雨

目 次


1名句逍遙
欣一俳句の鑑賞<23>高木良多
良多俳句の鑑賞<23>蟇目良雨

2作品7句と自句自解ちょっと立読み

7八千草日記高木良多
<17> 吉祥草ちょっと立読み
<18> シクラメン

8墨痕三滴(俳句選評)蟇目良雨

11寄り道 高野素十論 15ちょっと立読み蟇目良雨

23美しき山神地祇を詠む
宮川杵名男の句集『律儀』の背景ちょっと立読み
高木良多

26曾良を尋ねて 第27回乾佐知子
78 -殺生石、白河の関、須賀川へ –ちょっと立読み
79 -福島から仙台へ –

28第5回 遊ホーッ洒落斎
紫禁城 ちょっと立読み

29旅と俳句 台湾紀行(三)石川英子
7. 3月17日(火)台北へ帰る ちょっと立読み
8. 3月18日(水)帰国
9. 李登輝氏の「いま日本に望むこと」他
10. あとがき

32インフォメーション●他誌掲載作品・書評など

36会友招待席・会友句添削と鑑賞 -句を磨く-高木良多

 37あとがき

38句会案内

表3東京ふうが歳時記 <23>編集部選