ネパール・ヒマラヤ紀行 ２０１１

ミニエッセー「旅と俳句」

ネパール・ヒマラヤ紀行 ２０１１

ポカラ・ダンプストレッキング　仏陀の生誕地・ルンビニへ

石川　英子

3月5日、快晴。

　6時10分黄金の刻、ホテルのベッドからヒマラヤ山群がくっきりと見える。正人を叩き起してビデオとデジカメの撮影を頼んだ。刻々と明けてゆく中空に東側のアンナプルナIII峰 7,555ｍ、少し奥にガンガプルナ7,454ｍ、手前がマチャプチュレ、そしてなだらかな丸みを帯びたアンナプルナ峰8,091ｍ、南峰7,219ｍ、闇の中から浮き上がって来る氷壁に朝日が飛びついて茜色に染まっていく。岳が大きくせまって来るのは日の出の一刻である。山々の吐く薄い雲が天女のヴェールの様に茜色を帯びて群青の空に浮かび上る。この大景を追って遥かな極東の地日本からポカラ迄やって来た。そしてこの時刻、太陽が東の峰に閃光を走らせる頃、田圃に羽を休めていた渡り鳥が50、60と帯になり鉤になって帰ってゆく、正人は一気に70枚の写真を撮った。
庭からマレーシア仏教団体巡礼の華僑の男性も山を撮っていたので中国語で挨拶を交わした。急いで屋上に登って行くと白人の夫婦も山を撮影していた。
1階の庭に面した大レストランに下りてゆくと、巡礼の一団が泊っていたのでバイキング形式のネパール野菜の豊かな朝食だった。部屋を片付けてロビーに降りるとテク君と運転手が迎えに来ていた。韓国産の軽自動車。