澤木欣一の沖縄諷詠 5
「澤木欣一の沖縄諷詠」
高木 良多
つぎの「再び那覇」の項は最終項でつぎの13句より成っている。
318 露の地へ五体投地の拝(うがん)かな
319 沢潟や石で組みたる天女橋
320 螢火や首里王城は滅びたる
321 颱風にもぎとられても石で継ぐ
322 夏雨(ぐれ)の天水桶へ幹伝ひ
323 幹なでて乙女恥ぢらふさるすべり
324 夕市に鶏頭売れり金盥
325 泡盛は鏡色なり夜の秋
326 地芝居は竹取もどき天川座
327 盆芝居婆々の投げたる米袋
328 時雨めく鷹の尿雨(しばい)や次の旅
329 芒桑挿す柴差しの日の待たる
330 島さらば白露凧上げ待ちきれず
以上で『沖縄吟遊集』は終わっている。総句数330句である。沖縄は古く「阿児奈波」または「南島」と呼ばれていた。
15世紀以降、日本と中国に両属の形となっていたが、17世紀初頭、島津氏に制服され、明治維新後、琉球藩が置かれ、1879年(明治12)沖縄県となっていた。
その地域は沖縄本島をはじめ、琉球諸島を含み、面積2265平方km、人口約129万5千である。
太平洋戦争では激戦地となり、敗戦の結果、アメリカが施政権を行使、1952年4月、自治体琉球政府がおかれたが、1972年5月15日、米軍基地の存続など問題を残したまま、施政権は日本に返還されている。
(つづきは本誌をご覧ください。)