東京ふうが54号(平成30年夏季号)

第15回「遊ホーッ」

洒落斎

①バッタ

山脇兆史著の『昆虫の行動の仕組み』に鳥とバッタの捕獲に関する記述があったので紹介します。

 バッタは空中では鳥に捕食され、地上ではカエルやトカゲなどさまざまな動物に捕食される。空を飛んでいる最中のバッタは、接近してきた鳥がバッタを捕まえようとする寸前に羽ばたきを止めて滑空することで、攻撃を避けると考えられている。なぜ滑空することが避けることにつながるのか疑問に思った方もいるかもしれない。飛翔中に急に羽ばたきをやめると、浮く力が急になくなるので高度を下げることになる。そのため、鳥がバッタを捕獲しようとする直前にストンと落ちれば、攻撃を避けることができる。鳥による進路の予想を裏切るのが大事なのだ。

 相手の予想を裏切ることはスポーツではよく行われるが、ラグビーの場合だと真っ直ぐ走ってきて、急にサイドステップされるとつかまえそこなうが、それは二次元の世界のことで、鳥とバッタの場合は三次元空間での動作なので、捕獲する方、される方共に大変な闘いである。

 バッタがそのような羽ばたきの調整をしているとは驚きです。もっとも追いかける鳥も大変であり、さらに言えばそのような観察をしている昆虫学者も大変だと思える。


(つづきは本誌をご覧ください。)