八千草日記
(15)ホトトギス草
高木良多
水ぎはへホトトギス草なだれ咲き 良 多
歳時記では主季語に「杜鵑草」、副季語に「ほととぎす草」、「油点草」を置いてある。
植物大図鑑に「花は上向きで2.5センチメートルくらい。和名杜鵑草は花被片のはん点を鳥のホトトギスの胸にあるはん点になぞらえて名がついた」と解説しているので、掲句も鳥のホトトギスの姿を意識して詠んでいる。
私の家の庭のホトトギス草はいつ誰が植えたのか覚えはないが何年も前からのものでいまは繁殖し、蹲踞より流れ出る水に向かってなだれるように咲いていて美しいが、このホトトギス草も秋も深まるころに植木師が来て他の雑草とともに借りとられてしまう宿命をもっている。庭草の成育のためには致し方のないことなのである。
(25/10/4)
(つづきは本誌をご覧ください。)