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冬菜に塩ふればしきりに母のこと

蟇目良雨講評
東京ふうが 平成28年冬季・新年号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報378回〜380回より選

冬菜に塩ふればしきりに母のこと  綾子

私たちの年代になると母の姿とはいつも割烹着を着て何かをしているのであった。揚句も冬菜に塩を振る母の姿を思い出している。この冬菜は白菜であるかも知れない。ぱらぱらと塩を振って白菜から余計な水分を抜いている母がいる。そして同じことを作者もやっている。塩を振るひと手間が料理を美味しくさせてくれる。母の愛情が詰まるのである。