曾良を尋ねて
38.「鹿島詣」に関する一考察
乾 佐知子
貞享三年(1686)5月に「蛙合せ」の興業を終えた芭蕉は、同年8月になると
名月や池をめぐりて夜もすがら
の句を得て更に独自の境地を開いていった。
前年に庵で見た「仲秋の名月」を今年も見たいと慾したのか、翌年の8月中旬に、曾良と近くに住む禅僧の宗波を伴って月見の旅に出た。
この時に出来たのが「鹿島詣」という紀行文で、旅も一泊の行程なので文章も短く、今日の原稿用紙でも4枚半程度のものである。
現在『奥の細道』に関する解釈本は、山ほど出版されているが「鹿島詣」の原文を目にすることはあまりない。
従って今回は多少の私見を交えつつ、この原文を出来るだけ多く紹介して芭蕉の名文を堪能して戴きたい。
(つづきは本誌をご覧ください。)