「旅と俳句」 台湾紀行Ⅱ
原住民族の高地と町を訪ねて(3)
石川英子
1・序
2・台北・孫逸仙史蹟記念館 3月20日(日)
3・阿美族と太魯閣族の町花蓮 3月21日(月)
4・太魯閣渓谷へ高地民族を訪ねる 3月22日(火)
5・台東県へ・花東公路山線 3月23日(水)
6・プユマ族の山地・知本森林遊楽地 3月24日(木)
7・台東市から台北市・新北市へ 3月25日(金)
8・孫中山紀念館見学・帰国 3月26日(土)
7 台東市から台北市・新北市へ 3月25日(金)
8時起床。8時半過ぎ、団体客が去り静かな大食堂でゆっくりとバイキングを楽しむ。いつもの賑やかな通りと反対側の町の人々の暮らしの見える路を1時間程散策に出た。朝食を売る小店。住民相手の魚、肉、野菜などの店と住居が並ぶ。これが台東の中心街かと思う程、軒は低く質素な暮らしぶり。この辺はプユマ族、アミ族、ヤミ族が入り混じって住んでいるといわれるが、間口が狭く、細い路地裏に本省人や外省人達に溶け込んでいて、見分けがつかない暮らしだ。
10時半、チェックアウト。街で通りすがりの普通車の老人が、駅まで200元だと寄って来た。白タクという事らしいが、優しい顔つきの男だったのでお願いした。台東駅は何度見ても故郷の様で楽しい。高地族と日本の昭和の匂いがする。構内のコンビニ横で原住民の女性達が、地元の特産品や釈迦餅と共に湯気の立つ便當を売っていた。台湾の野球選手の本と車中で食べる菓子などを買った。便當は車中に期待したが、売り切れで買う事は出来なかった。
11時20分、新幹線に次ぐ超特急列車は定刻通り出発。車窓に望む太平洋は、71年前の歴史の悲哀を知らぬ様に、青く澄み穏やかだ。花蓮山地に湧く雲が山襞を這い登り、窓際の座席からは幾重にも玉山山脈につづき中央山脈の山並みが雪嶺を重ねて見える。花蓮、宣蘭、基隆、松山空港の次は台北。13時50分、ほとんどの客が台北駅で下車し、桃園国際空港までの客が残った。臺鐵便當が買えなかったので、2階の大戸屋でかつ重定食と茶碗蒸しの昼食の後、タクシーでホテルへ直行。新北市に入ると直ぐの富信大飯店・台北旗艦館。新北市汐止区大同路一段一二八号に投宿。
17時半、部屋ではNHKの大相撲が佳境。白鵬も稀勢の里も共に勝ったが、一勝の差がついている。ホテルのウェルカムフルーツをいただいてから、新北市の街を歩いて最寄りの駅まで行った。守衛に聞いて歩き始めたが、自動車工業団地の様な所で、韓国の現代自動車、ホンダ、ニッサン、マツダ等が甍を競う通りを北へ北へと歩く。夜の町を一時間近く歩いて汐止駅に着いた。台鉄の北回り線に乗り、20分で台北駅着。
駅前の新光三越の最上階からエスカレーターで各階を見物したが、日本橋の様な重厚な趣はない。結局、地下2階の食料品店で干し海老2袋と桜海老の干物を3袋買った。三越の台湾料理店でワンタンスープとカレーの遅い夕食を済ませて、MRTでホテル最寄りの南港展覧館駅へ。20分で着いた。雨の降るでこぼこ道を歩いて帰館。22時10分だった。