韓国俳句話あれこれ 21
本郷民男
▲ 金剛句歌詩集の外金剛と海金剛
1927年の『金剛句歌詩集』の続々編として、その「第三編 外金剛及海金剛等」を読むことにしましょう。外金剛・海金剛は東海岸です。東海岸の拠点都市の元山へ京城から行ける鉄道が早くから開通していたので、元山から少し南下して行けました。
▲ 内金剛に向かう
〇 隱仙臺 老坡 和田常市
高城郡にあり、南方楡岾寺に向ふ峻嶺である。
鎖つたいに峯層層の紅葉見る
〇 隱仙臺 大山草兒
霧の中の瀑のとどろき嶺上に
〇 隱仙臺 菊史 呉華英
仙子隱居兜率宮 空臺只在半空中
遥看瀑布長川掛 十二落來動雪風
仙子は兜率宮に隱居し、
空臺はただ、半ば空中に在り。
遥に瀑布を看れば、長川
十二
〇 十二瀑 岩本九畝
外圓通洞中にあり、隱仙臺より望見すると一段の奇絶を覺える。
涼風や木の間越したる十二瀑
〇 十二瀑 弘中初子
金剛の夏猶寒し十二瀑
〇 隱仙臺より十二瀑を見る 帆影郎 江口元章
十瀑は數へし嶺の紅葉かな
隱仙臺は仙人の住むような高所ということでしょう。弥勒菩薩は天界で長い修行をしてから、また地上に降りて来るとされ、彌勒菩薩の住む兜率天ともされました。隱仙臺からは多数の滝が見えました。帆影郎は、十二は無理でも十は見えると、正直に数えています。
(つづきは本誌をご覧ください。)