「俳句鑑賞「墨痕三滴」」カテゴリーアーカイブ

筒鳥や崖に張りつく御師の家

高木良多講評
東京ふうが 平成22年夏季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報302号~303号より選

筒鳥や崖に張りつく御師の家  荻原 芳堂

 

御師の家とは山岳宗教の祈祷師の家のことであろう。険しい崖に張りついているような住居のあたりに筒鳥が啼いている。筒鳥はぽんぽん鳥ともいう。実景の活写。


名の木の芽ひとつひとつに雨雫

高木良多講評
東京ふうが 平成22年春季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報298~301号より選

名の木の芽ひとつひとつに雨雫  蟇目 良雨

 

名の木の芽はたとえばしだれ梅のような大切にされている庭木の芽なのであろう。そこへ雨が通りかかったので、ひとつひとつに雨雫がたまっている写生の句、とり合わせの句ではない。「一物仕立ての句」となっている。とり合わせの句とくらべて難しいとされているが、努力すれば名句が生まれる。