「通巻32号」タグアーカイブ

硝子戸の中の門松丸の内

高木良多講評
東京ふうが 平成24年 冬季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報332号~334号より選

硝子戸の中の門松丸の内 蟇目良雨

どんな貧しい家でも門松は門の内か外に飾られてあるのが普通の家であるが、この句の門松は硝子戸の内側に飾られてある。大きなビルの立派な硝子戸の内側なのであろう。丸の内なればである。その意外性が面白い現代俳句となっている。


東京ふうが32号(平成25年 冬季・新年号)

編集人が語る「東京ふうが」32号

「東京ふうが」編集人より

32_cover「5千粒、1万粒の涙」

3月9日の朝日新聞記事に、東日本大震災のシリーズものが掲載されていました。
その中に、津波で父も祖父母も亡くした大槌町の小学五年生の少年が、地元に伝わる郷土芸能の七福神踊に没頭して悲しみを紛らわせている様子が報じられています。
「踊っていると、じいじとばあばが見に来て、笑っているような感じがした。ちょっとうれしかったです。」
と今の心境を語り、悲しみは少しずつ癒されているという中に、この少年が語る次の言葉に感激しました。
「津波の時、夜になっておかんが無事だとわかるまで、心配で、避難所で、五千粒、一万粒の涙を流しました。親が二人ともいなくなったんだから、自分より、おかんの方がつらいと思う。津波注意報が来て、おかんと離れていると、心配で仕方がありません。」
この少年が語る「5千粒、1万粒の涙」という胸を打つ飾らない即物具象の言葉こそ俳人の探すべき言葉だと思ったものです。

蟇目良雨

目 次

1 名句逍遥
欣一俳句の鑑賞(11)     高木良多良多俳句の鑑賞(11)     蟇目良雨
2 作品七句と自句自解「冬季・新年詠」 ►ちょっと立読み
5 墨痕三滴(俳句選評) 添削:高木良多
(お茶の水句会報332~334号より選んだもの) ►ちょっと立読み
6  澤木欣一の句集      高木良多
『白鳥』の風土 ►ちょっと立読み
『交響』の現場
19 【寄り道 高野素十論】< 3 >     蟇目良雨 ►ちょっと立読み
26 東京大空襲体験記 銃後から戰後へ <24>    鈴木大林子
東京駅物語(2)「天皇の椅子」 ►ちょっと立読み
28 曾良を尋ねて < 15 >     乾 佐知子
江戸初期の幕藩体制と改易について ►ちょっと立読み
路通から曾良へ
齋部路通について
旅立ち直前における動向について
32 「旅と俳句」2012 インド漫遊の旅< 2 >     石川英子
ダージリン観光 ►ちょっと立読み
カルカッタは暑かった
カルカッタの街ぶらぶら
ラピスラズリの首飾り
38 会友招待席(会友句鑑賞)
「鑑賞と添削」     高木良多 ►ちょっと立読み
39 後書     高木良多
40 句会案内
表3 東京ふうが歳時記 < 11 >【 冬季 】    編集部選