高木良多講評
東京ふうが 平成平成23年 秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報316号~318号より選
新豆腐入荷と墨書なんでも屋 元石一雄
田舎のなんでも屋の店先に半紙に大きな文字で「新豆腐入荷」と看板がでている。新豆腐の白と墨書の黒とが対照的で新豆腐がおいしそうに見える。
田舎のなんでも屋の店先に半紙に大きな文字で「新豆腐入荷」と看板がでている。新豆腐の白と墨書の黒とが対照的で新豆腐がおいしそうに見える。
親が何かを探している。子の私もまた別の物を探している。そのような上五、中七の別々のことを結びつけているのは下五の柿若葉の季語となっている。心の中が描き出されている珍らしい一句。
「もろみの眠る仕込蔵」と春雷は関係がないようであるが遠い底の方でどこかつながっているように思える。ゴロゴロと鳴りながらもろみを育てている音のようにも思えるからである。このような季語の選び方には技術を必要とするところ。
「兜太の書」は現代俳句協会の金子兜太先生の色紙ということであろう。筆太で色紙からはみ出るような俳句が書かれているので鉱泉宿にふさわしい。「立春大吉」の季語がまたこの句にふさわしく、豪快な一句となった。