高木良多講評
東京ふうが 平成26年 冬季・新年号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報344号~346号より選
よく動く蟹を選りをり年の市 石川英子
上五「よく動く」の説明がよく効いていて蟹の特色が簡明に捉えているので年の市がよくわかる句となっている。無駄な言葉は使わず、俳句は短いから省略することが肝要。
高木良多講評
東京ふうが 平成24年 冬季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報318号~321号より選
綿虫の湧く峠路の没り日かな 石川英子
綿虫と峠路と没り日で情景がはっきりと分かる。夕日の光の関係で綿虫のとぶ姿もはっきりと見える。写生が効いているからである。
お茶の水俳句会から秀句をご紹介します。
第306回 2010年10月4日(月) 於:文京区民センター
兼題:葛、月見、水澄む
わが家の上にばかりや秋の雷 高木 良多
能登荒れの波そのままに葛嵐 蟇目 良雨
玄奘の超え行きし山夜半の月 石川 英子
お茶の水俳句会から秀句をご紹介します。
第305回 2010年9月13日(月) 於:文京区民センター
兼題:胡麻の花・風の盆・秋意、 席題:赤とんぼ・おしろいの花
おしろいが咲き裏町の灯り初む 高木 良多
てのひらを月に返して風の盆 蟇目 良雨
終バスの遠退く尾燈虫の闇 荻原 芳堂
虚無僧の尺八湿る秋意かな 鈴木大林子
吹き晴れし沼のほとりや赤蜻蛉 乾 佐知子
風の盆果て水音の戻りけり 花里 洋子
痛み止めゆるやかに効き秋意かな 井上 芳子
胡麻の花乾き切つたる大地かな 長沼 史子
茶柱のゆるがぬ今朝の秋意かな 石川 英子
帯決めて連を繰り出す風の盆 元石 一雄
東大寺まで奈良坂を油照 積田 太郎
都会の郷愁と風雅を俳句とエッセーに掬いとる俳句同人集団