編集人が語る「東京ふうが」50号
目 次
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1 | 名句逍遙<29> | 蟇目良雨 |
皆川盤水秀句鑑賞 | ||
高木良多秀句鑑賞 | ||
2 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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8 | 墨痕三滴(俳句選評) | 蟇目良雨 |
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10 | 寄り道 高野素十論 21ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
「久女の悲劇の始まり」 | ||
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23 | 曾良を尋ねて 第33回 ちょっと立読み | 乾佐知子 |
95 -立石寺・最上川より出羽三山へ – 96 -象潟と「みのの国の商人 低耳」 – 97 -越後・村上での曾良の一考察Ⅰ – 98 -越後・村上での曾良の一考察Ⅰ – |
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26 | 良雨●木曽の句 『俳壇』8月号「日本の樹木十二選」掲載より | |
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28 | <特集>例句から読み取るオノマトペ俳句考ちょっと立読み | 松谷富彦 |
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32 | 旅と俳句 台湾紀行III 閩南語の島々を訪ねて(2)ちょっと立読み |
石川英子 |
1.序 2.出発 桃園国際空港へ 3.金門尚義空港から金門城 |
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42 | 他誌掲載より・句集案内「菊坂だより」 | |
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44 | 第10回 遊ホーッちょっと立読み | 洒落斎 |
(1)童謡「かなりや」 (2)せりふ(台詞、科白) |
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45 | あとがき | |
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46 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <29> | 編集部選 |
季刊俳誌「東京ふうが」50号(平成29年夏季号)発行
蟇目良雨第三句集『菊坂だより』
蟇目良雨の平成11年から平成15年まで391句を所収。
「菊坂周辺は樋口一葉が人生の大半を過ごしたところである、何をするにしても一葉の影がちらちらするとてもいいところだとしみじみ思っている。
句集名を『菊坂だより』と銘打った次第である。」
自選十二句より
やはらかに膝を折りたる春の鹿
節太き筍料理子規の国
浮巣見に安土の城を傾けて
胸に受く赤子の重さクリスマス
子規の世の一途がかなし桜餅
忽然と空に吸はれし秋の蝶
年の瀬やなにはともあれ魚に塩
熱帯夜バーの女の
毛馬村に入る外套の襟立てて
菊坂に米を搗く音十三夜
子を産めぬ男さびしき水の秋
路地抜けてまた旅人や秋の風
春耕叢書 平29ー1
頒 価 2500円
2017年6月30日 印刷
2017年7月7日 発行
著 者 蟇目良雨
発行所 春耕俳句会
印刷所 渡邉製本
ブックデザイン 菫花舎
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桜貝軍艦島が沖に見ゆ
蟇目良雨講評
東京ふうが 平成29年春季号「墨痕三滴」より
桜貝軍艦島が沖に見ゆ 井上芳子
桜貝は穏やかな波の寄せる海浜を生息場所にしている。したがって桜貝の採れる海岸の様子は自ずから想像できる。掲句は穏やかな波の寄せては返す砂浜の対岸に突然軍艦島が見えたと驚いているのだ。長崎県の軍艦島を思い出すが作者によれば南洋の光景らしい。南洋に出兵した父の戦友を弔う慰霊の旅に参加した作者ならではの視点かもしれない。
船に揺られ来て絵踏の地へ一歩
蟇目良雨講評
東京ふうが 平成29年春季号「墨痕三滴」より
船に揺られ来て絵踏の地へ一歩 深川知子
絵踏の厳しく行われてきた時代にあって、島なら役人の追及も難しかろうと多くの隠れキリシタンが島に住みついた。荒波に揺られて、絵踏の行われた島に上陸する第一歩はさぞ緊張したであろう。このような光景を余すところなく掲句は描き切った。
茂吉忌も二二六も雪の中
蟇目良雨講評
東京ふうが 平成29年春季号「墨痕三滴」より
茂吉忌も二二六も雪の中 荒木静雄
斉藤茂吉の忌日は2月25日。掲句を読みかえれば〈 225も226も雪の中 〉となる。2月25日も2月26日も雪の中でしたという句になるのだが、思えば、歴史上の出来事は私たちの頭の中に寸分の隙も無く並んでいる。1936年の二二六事件も1953年の茂吉の死も事実は20年ほどの違いがあるにせよ記憶の中には一日違いのように背中合わせに思えてくるのである。そんなことを思い出させてくれる句である。
季刊俳誌「東京ふうが」49号(平成29年春季号)発行
東京ふうが49号(平成29年春季号)
編集人が語る「東京ふうが」49号
目 次
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1 | 名句逍遙<28> | 蟇目良雨 |
欣一俳句の鑑賞 | ||
良多俳句の鑑賞 | ||
2 | 高木良多先生を偲ぶ会ちょっと立読み | |
4 | 作品7句と自句自解ちょっと立読み | |
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10 | 墨痕三滴(俳句選評) | 蟇目良雨 |
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12 | 寄り道 高野素十論 20ちょっと立読み | 蟇目良雨 |
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14 | 禁忌を越えた季重ね俳句考 | 松谷富彦 |
18 | 「謎めく芭蕉の物語」(公開講座講演概略) | 蟇目良雨 |
22 | 曾良を尋ねて 第32回 ちょっと立読み | 乾佐知子 |
92 -『奥の細道』における「奥州平泉」の役割 – 93 -出羽越え・尿前の関 – 94 -封人の家と尾花沢鈴木清風 – |
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25 | 旅と俳句 台湾紀行III 閩南語の島々を訪ねて(1)ちょっと立読み |
石川英子 |
1.序 2.出発 桃園国際空港へ 3.金門尚義空港から金門城 |
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28 | 第10回 遊ホーッちょっと立読み | 洒落斎 |
(1)つきへんとにくづき (2)蛙に多く使われる字 |
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29 | あとがき | |
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30 | 句会案内 | |
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表3 | 東京ふうが歳時記 <28> | 編集部選 |
冬菜に塩ふればしきりに母のこと
蟇目良雨講評
東京ふうが 平成28年冬季・新年号「墨痕三滴」より
冬菜に塩ふればしきりに母のこと 綾子
私たちの年代になると母の姿とはいつも割烹着を着て何かをしているのであった。揚句も冬菜に塩を振る母の姿を思い出している。この冬菜は白菜であるかも知れない。ぱらぱらと塩を振って白菜から余計な水分を抜いている母がいる。そして同じことを作者もやっている。塩を振るひと手間が料理を美味しくさせてくれる。母の愛情が詰まるのである。