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令和2年夏季 佳句短評

東京ふうが 令和2年夏季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報4回〜421回より選

浴衣着てアラン・ドロンに会ひに行こ  乾佐知子

呉服屋の女将がこんな洒落た句を作るとは捨てたものではない。何時までも心は若くありたいもの。

ハローとなんて言つてみるサングラス  島村若子

サングラスをかけて人格が若返る。すっかりアメリカ人になり切ってサングラスを楽しむ。

夏の夜やコルトレーンとバーボンと  野村雅子

遊びに慣れないとこんな句は出来ない。金管楽器のジャズ曲に合う酒はバーボンしかない。


令和2年春季 佳句短評

東京ふうが 令和2年春季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報419回〜421回より選

歌舞伎座の留守を預かる鼓草  島村若子

この句平常時なら鑑賞に苦労するだろうが、コロナ禍の現在ならすぐわかる。歌舞伎座はコロナ騒ぎで休演しているがその間を道端の鼓草が見守っていますよという鑑賞になる。その時々の世を記録するように詠うことも大切。

湯畑に硫黄の匂ひ冬銀河  堀越

単純明快な句。硫黄の匂いのする湯畑に立ち冬の銀河を仰ぎ見ている光景。温泉の湯けむりも凍てつくような寒さの上に冬銀河が煌々と輝いて見える。

寸にして波と抗ふ蘆の角  小田絵津子

蘆の角を写生し尽くしたと思う。僅か一寸(三センチ)の蘆の角が寄せ来る波に負けじと立ち向かっている様子を見事に描写している。蘆の強さを余す無く描いている

新しき恋の始まる落し角  大多喜まさみ

これは思い切りのいい句だ。鹿が角を落として生まれ変わったようになることは新しい恋の始まりでもあると鹿にエールを送っている。


東京ふうが61号(令和2年春季号)

編集人が語る「東京ふうが」61号

「東京ふうが」編集人より

編集人が語る

俳句を長くやっていると作る時のコツが段々分かる。
コツは一面で省略術であり、装飾術でもある。
それらしい俳句を作ることが出来ても「真心」のある俳句は簡単には出きない。
特に鑑賞になると作者が考えも及ばない鑑賞をする人がいるがこれは鑑賞者の我田引水によるものが多い。美辞麗句を並べても的外れな鑑賞は幾らでもある。
慎みたいことである。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <40> 蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

寄り道 高野素十論  31 ちょっと立読み蟇目良雨
 「終わりに」

13随筆 「韓国俳話あれこれ」6ちょっと立読み本郷民男
韓国の釜山にも俳額
四人の撰者、三八八句
倭館、神社そして釜山タワー
俳額に掲載された可能性の高い句
投句した人々
雪中庵雀志とその撰句の一部

16他誌掲載記事 新刊句集『九曲』蟇目良雨

18曾良を尋ねて 第44回 ちょっと立読み乾佐知子
128─ 六代将軍徳川家宣について
129─ 幕府巡見使の御用人として九州へ
130─ 曾良巡見使随員に関する一省察
131─ 岩波庄右衛門正字御用人壱岐へ

23コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
114 – 「いかにして美しく消耗するか」の覚悟で詠む(上)
115 – 「いかにして美しく消耗するか」の覚悟で詠む(下)
116 – 自由律俳人、種田山頭火の戦争俳句
117 – 忘れられてきた沖縄歳時記

28新型コロナウィルスに思うこと 2ちょっと立読み蟇目良雨
スペイン風邪のときの与謝野晶子の言葉など

32墨痕三滴(佳句短評)蟇目良雨

35あとがき

36句会案内

表3東京ふうが歳時記 <40>編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和2年冬季・新年号 佳句短評

東京ふうが 令和2年冬季・新年号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報417回〜418回より選

茶筅干す生駒颪に傘広げ  深川知子

茶筅作りの産地の光景。細い竹筒を十センチくらいにカットし一方にこまかい切り込みを入れ外側に折り曲げると唐傘のおちょこの骨組みに似た様子になる。作者はこれを傘広げと見做して一句を楽しんでいる。

湯畑に硫黄の匂ひ冬銀河  堀越

単純明快な句。硫黄の匂いのする湯畑に立ち冬の銀河を仰ぎ見ている光景。温泉の湯けむりも凍てつくような寒さの上に冬銀河が煌々と輝いて見える。

等伯の墨の濃淡雪催  野村雅子

長谷川等伯六曲一双「松林図屏風」を見ての句と思う。消え入りそうな靄籠めの中の松林を墨絵にしたためた屏風の墨の濃淡を見ているうち雪催を思い出したのは、能登の出身の等伯と同じ光景を作者も経験したことがあるせいかも知れない。等伯は子の久蔵を亡くした悲しみの消えぬうちにこれを描いたといわれ、まさに鎮魂の静けさに包まれた絵になっている

寒の星軍艦島の潰え見せ  松坂康夫

厳しい冬の夜の景色だ。寒の星明りのもとに浮き上がる軍艦島の輪郭のどこかにえが見えていることで大自然の下の歴史の移ろい感じられる。


東京ふうが60号(令和2年冬季・新年号)

編集人が語る「東京ふうが」60号

「東京ふうが」編集人より

喜寿も過ぎれば完全に老人の仲間。それでも頭の中だけはいつも若さを保っているようだ。 長年追い続けている高野素十研究も時々掘り出し物に出会う。今号の手塚富雄の文章がそうである。西洋詩の観点から素十を味わうことが出来て本当に嬉しい。これからも寄り道しながら高野素十を味わってゆきたい。

世の中は新型コロナウイルスで一色。これも生きているからこそ出会えたこと。長生きしたいものだ。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <39> 蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

追悼・松坂康夫 作品35句

10寄り道 高野素十論  30 ちょっと立読み蟇目良雨
 「手塚富雄の素十論」

16曾良を尋ねて 第43回 ちょっと立読み乾佐知子
126─ 長島松平家断絶に関する一考察I
127─ 長島松平家断絶に関する一考察II

18新型コロナウィルスに思うことちょっと立読み蟇目良雨
スペイン風邪とホトトギスの俳人たち

22コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
110 – 虚子が可とした俳句、否とした俳句
111 – 虚子の戦後俳句鑑賞の肉声記録(1)
112 – 虚子の戦後俳句鑑賞の肉声記録(2)
113 – 虚子の戦後俳句鑑賞の肉声記録(3)

27随筆 「韓国俳話あれこれ」5ちょっと立読み本郷民男
機一筆「爐塞や」の短冊
其角俳諧の聖地、三囲神社
巖谷小波筆「衣洗ふ」掛け軸
俳人、画家としての小波
河東碧梧桐筆の「蚕養する」掛け軸
木浦の俳誌『カリタゴ』を見ると

30第21回 遊ホーッちょっと立読み洒落斎
①おもてなし
②司馬遼太郎・続
③勝海舟のシナ観
④騎馬民族征服王朝説

33墨痕三滴(佳句短評)蟇目良雨

35あとがき

36句会案内

表3東京ふうが歳時記 <39>編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和元年秋季佳句短評

東京ふうが 令和元年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報414回〜415回より選

踏まれたる邪鬼の声聞く白露かな  深川知子

 四天王像の足下に踏まれている邪鬼像が声を発しているかと思ったらそれは白露のせいなのだろうかと思う作者。空気が凛と張りつめてきて露を結ぶような気候。仏像の発する声を聞くよい機会である。

銀漢や大草原のひづめ跡  堀越

 銀漢の下の大草原の光景。草原は大きくうねっているばかりだが、銀漢の明るさに大地に刻まれた蹄の跡がはっきり見えるのである。

    (友曰く)
これ俺の天空の村初時雨  島村若子

 これが俺の古里の天空にある村だぞと、友人が自慢している図。初時雨も来て、虹も見えるようである。乱暴なような言葉の配置が句に若々しさを齎した。

 


東京ふうが59号(令和元年秋季号)

編集人が語る「東京ふうが」59号

「東京ふうが」編集人より

素十と秋桜子の「自然の真と文芸上の真」は、実は現代にまで尾を引きずっている俳句論争の一つです。

現代俳句を見渡すと、難しい言葉を振り回したり、季語を無視している俳人がどちらかというと力を誇示している俳壇でもあります。

己の信じた道を行き、脇目も振らなかった素十の評価を確立させてゆくつもりです。ご愛読下さい。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <38> 蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

他誌掲載記事
『俳句四季(2019年10月号)』

句のある風景
深川知子

10他誌掲載記事
『WEP俳句通信112号』

季節の中で (100)
蟇目良雨

12寄り道 高野素十論 29 ちょっと立読み蟇目良雨
 「細谷喨々の素十観」

16他誌掲載記事
『俳句文学館(2019年12月5日号)』
随筆・曾良の足跡
乾佐知子

17曾良を尋ねて 第42回 ちょっと立読み乾佐知子
123─ 芭蕉没後の曾良の動向II
124─ 曾良と吉川惟足
125─ 諏訪帰郷と芭蕉墓参について

20随筆 「韓国俳話あれこれ」4ちょっと立読み本郷民男

23コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
106 – 話題の句集『アウトロー俳句』を知ってますか
107 – ライオンが検査でゐない冬日向 北大路翼
108 – 虚子は戦後俳句をどう読んだか
109 – 虚子の選句基準は俳句らしい思想と措辞

28第20回 遊ホーッちょっと立読み洒落斎
①イギリスのEU離脱と英語問題
②副島隆彦著の『逃がせ隠せ個人資産』より
③スイスの銀行の口座

30旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路⑤ちょっと立読み石川英子
Ⅲ 新彊ウイグル自治区

43あとがき

44墨痕三滴(佳句短評)蟇目良雨

46句会案内

表3東京ふうが歳時記 <38>編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和元年夏季佳句短評

東京ふうが 令和元年夏季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報410回〜413回より選

はやる鵜に鵜匠よろめく徒歩鵜かな  富彦

 鵜飼は全国の十一ヵ所で行われている。その中で徒歩鵜は笛吹川の石和で行われている、川の中を歩いて鵜飼を行うという珍しいもの。ゴロタ石の川底を歩いてゆくのでよろめく鵜匠もいることだろう。ここでは一人が一羽の鵜を操り、篝火を持つ助手が一人付く。

仲見世といふ花道を荒神輿  絵津子

 仲見世を花道と言うことはないと思うが、荒神輿が渡御する道ということで花道と言っていいのではないか。店先に触れんばかりに練り歩く荒神輿は、歌舞伎役者が観客の顔すれすれに花道を行く姿に似通っている。この句、花道が大変効いている。

ハローとかなんて言つてみるサングラス 若子

 サングラスをかけたら青春を思い出して心がうきうきして「ハロー」と言ってみた光景。「なんて言ってみる」には、恥じらいが込められている。こうした若々しい句もいいものだ。

蛍見の帰りは闇も暗からず  民男

 螢見の本質が描かれている。螢を見に行くときは始めこそ懐中電灯を点けて足もとを照らしてゆくが螢沢に近づくと消さなければならない。闇に眼を馴らして初めて飛び交う螢の火を識別できる。往きの暗さに馴れて初めて螢を楽しむことが出来る。闇に眼が慣れてくると帰りの闇は暗く感じられない。楽しい足取りで帰路に就くのである。


東京ふうが58号(令和元年夏季号)

編集人が語る「東京ふうが」58号

「東京ふうが」編集人より

令和の新時代が開けて半年しか経たないのに天然の災害が続き、政治では大臣の更迭が相次いでいる。

アメリカのトランプ大統領の暴政、韓国のムンジェイン大統領の依怙地さ、イングランドの政治の迷走など日本を取り巻く環境も悪すぎる。

こうした環境に在っても俳句文芸は自己を失わず、世間に迎合せずに己を貫きたいものである。

虚子の一貫して変わらぬ態度を学ぶべきであるとおもう。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <37> 蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

9寄り道 高野素十論 28 ちょっと立読み蟇目良雨
 「志摩芳次郎という俳人」

16曾良を尋ねて 第41回 ちょっと立読み乾佐知子
119─  『奥の細道』素龍本についての一考察(3)
120─ 『奥の細道』野坡本に関する一考察
121─ 『奥の細道』野坡本に関する一考察II
122─  芭蕉没後の曾良の動向

20コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
102 – 老人と老人のゐる寒さかな 杏太郎
103 – 雪が降り石は佛になりにけり 杏太郎
104 -「俳句とは冬日だまりのひとり言 杏太郎
105 – ラ・マンチャの男に吹いて秋の風  杏太郎

25旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路④ちょっと立読み石川英子

40随筆 「韓国俳話あれこれ」3ちょっと立読み本郷民男

43他誌掲載記事 『俳句界(6月号)』『鶴(7月号)』

44墨痕三滴(佳句短評)蟇目良雨

46第19回 遊ホーッちょっと立読み洒落斎
①幸せという字
②サッチャーの言葉(その2)
③ロス・ペローの言葉

47あとがき

48句会案内

表3東京ふうが歳時記 <37>編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和元年春季佳句短評

東京ふうが 令和元年春季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報408回〜410回より選

花衣足袋つぐこともなく生きて  知子

杉田久女は「ノラともならず足袋をついだ」が、作者は「足袋をつぐこともなく」ここまで生きてきてしまったと人生を振り返る。どちらの生き方も貴重であることに変わりはない。

修司忌や戯れに擦る古マッチ  洋子

修司の生き方は何にでも戯れに挑戦してゆく。駄目ならまた違うものに挑戦するというそんな人生。決して美しく作られたものではない。しかし、その戯れに試みることの大切さに作者は大切なことが秘められていると言いたいのだろう。戯れに擦った古マッチは点いたのだろうか。

仲見世といふ花道を荒神輿  絵津子

三社祭をずばりと表現した。仲見世を花道と表現するなんてちょっと気が付かなかった。仲見世があまりに長いので花道の表現に辿りつかなかったのかもしれない。堂々たる立句になった。