高木良多講評
東京ふうが 平成平成23年 秋季号「墨痕三滴」より
新豆腐入荷と墨書なんでも屋 元石一雄
田舎のなんでも屋の店先に半紙に大きな文字で「新豆腐入荷」と看板がでている。新豆腐の白と墨書の黒とが対照的で新豆腐がおいしそうに見える。
田舎のなんでも屋の店先に半紙に大きな文字で「新豆腐入荷」と看板がでている。新豆腐の白と墨書の黒とが対照的で新豆腐がおいしそうに見える。
親が何かを探している。子の私もまた別の物を探している。そのような上五、中七の別々のことを結びつけているのは下五の柿若葉の季語となっている。心の中が描き出されている珍らしい一句。
「もろみの眠る仕込蔵」と春雷は関係がないようであるが遠い底の方でどこかつながっているように思える。ゴロゴロと鳴りながらもろみを育てている音のようにも思えるからである。このような季語の選び方には技術を必要とするところ。
「兜太の書」は現代俳句協会の金子兜太先生の色紙ということであろう。筆太で色紙からはみ出るような俳句が書かれているので鉱泉宿にふさわしい。「立春大吉」の季語がまたこの句にふさわしく、豪快な一句となった。
御師の家とは山岳宗教の祈祷師の家のことであろう。険しい崖に張りついているような住居のあたりに筒鳥が啼いている。筒鳥はぽんぽん鳥ともいう。実景の活写。
俳句(はいく)は、たった17音の、世界一(せかいいち)短(みじか)い詩(し)です。ルールは簡単(かんたん)!
「つばめつばめ泥(どろ)の好きなるつばめかな」
17字の中に、季節(きせつ)の言葉(ことば)(季語(きご))があればオーケー。
上の俳句は細見綾子(ほそみあやこ)さんの作品です。「つばめ」が春(はる)の季語(きご)です。
このように、思ったことをなんでも作ってください。
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名の木の芽はたとえばしだれ梅のような大切にされている庭木の芽なのであろう。そこへ雨が通りかかったので、ひとつひとつに雨雫がたまっている写生の句、とり合わせの句ではない。「一物仕立ての句」となっている。とり合わせの句とくらべて難しいとされているが、努力すれば名句が生まれる。