「お茶の水俳句会」タグアーカイブ

令和元年秋季佳句短評

東京ふうが 令和元年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報414回〜415回より選

踏まれたる邪鬼の声聞く白露かな  深川知子

 四天王像の足下に踏まれている邪鬼像が声を発しているかと思ったらそれは白露のせいなのだろうかと思う作者。空気が凛と張りつめてきて露を結ぶような気候。仏像の発する声を聞くよい機会である。

銀漢や大草原のひづめ跡  堀越

 銀漢の下の大草原の光景。草原は大きくうねっているばかりだが、銀漢の明るさに大地に刻まれた蹄の跡がはっきり見えるのである。

    (友曰く)
これ俺の天空の村初時雨  島村若子

 これが俺の古里の天空にある村だぞと、友人が自慢している図。初時雨も来て、虹も見えるようである。乱暴なような言葉の配置が句に若々しさを齎した。

 


東京ふうが59号(令和元年秋季号)

編集人が語る「東京ふうが」59号

「東京ふうが」編集人より

素十と秋桜子の「自然の真と文芸上の真」は、実は現代にまで尾を引きずっている俳句論争の一つです。

現代俳句を見渡すと、難しい言葉を振り回したり、季語を無視している俳人がどちらかというと力を誇示している俳壇でもあります。

己の信じた道を行き、脇目も振らなかった素十の評価を確立させてゆくつもりです。ご愛読下さい。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <38>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

他誌掲載記事
『俳句四季(2019年10月号)』

句のある風景
深川知子

10 他誌掲載記事
『WEP俳句通信112号』

季節の中で (100)
蟇目良雨

12 寄り道 高野素十論 29 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「細谷喨々の素十観」

16 他誌掲載記事
『俳句文学館(2019年12月5日号)』
随筆・曾良の足跡
乾佐知子

17 曾良を尋ねて 第42回 ちょっと立読み 乾佐知子
123─ 芭蕉没後の曾良の動向II
124─ 曾良と吉川惟足
125─ 諏訪帰郷と芭蕉墓参について

20 随筆 「韓国俳話あれこれ」4ちょっと立読み 本郷民男

23 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
106 – 話題の句集『アウトロー俳句』を知ってますか
107 – ライオンが検査でゐない冬日向 北大路翼
108 – 虚子は戦後俳句をどう読んだか
109 – 虚子の選句基準は俳句らしい思想と措辞

28 第20回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
①イギリスのEU離脱と英語問題
②副島隆彦著の『逃がせ隠せ個人資産』より
③スイスの銀行の口座

30 旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路⑤ちょっと立読み 石川英子
Ⅲ 新彊ウイグル自治区

43 あとがき

44 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

46 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <38> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和元年夏季佳句短評

東京ふうが 令和元年夏季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報410回〜413回より選

はやる鵜に鵜匠よろめく徒歩鵜かな  富彦

 鵜飼は全国の十一ヵ所で行われている。その中で徒歩鵜は笛吹川の石和で行われている、川の中を歩いて鵜飼を行うという珍しいもの。ゴロタ石の川底を歩いてゆくのでよろめく鵜匠もいることだろう。ここでは一人が一羽の鵜を操り、篝火を持つ助手が一人付く。

仲見世といふ花道を荒神輿  絵津子

 仲見世を花道と言うことはないと思うが、荒神輿が渡御する道ということで花道と言っていいのではないか。店先に触れんばかりに練り歩く荒神輿は、歌舞伎役者が観客の顔すれすれに花道を行く姿に似通っている。この句、花道が大変効いている。

ハローとかなんて言つてみるサングラス 若子

 サングラスをかけたら青春を思い出して心がうきうきして「ハロー」と言ってみた光景。「なんて言ってみる」には、恥じらいが込められている。こうした若々しい句もいいものだ。

蛍見の帰りは闇も暗からず  民男

 螢見の本質が描かれている。螢を見に行くときは始めこそ懐中電灯を点けて足もとを照らしてゆくが螢沢に近づくと消さなければならない。闇に眼を馴らして初めて飛び交う螢の火を識別できる。往きの暗さに馴れて初めて螢を楽しむことが出来る。闇に眼が慣れてくると帰りの闇は暗く感じられない。楽しい足取りで帰路に就くのである。


東京ふうが58号(令和元年夏季号)

編集人が語る「東京ふうが」58号

「東京ふうが」編集人より

令和の新時代が開けて半年しか経たないのに天然の災害が続き、政治では大臣の更迭が相次いでいる。

アメリカのトランプ大統領の暴政、韓国のムンジェイン大統領の依怙地さ、イングランドの政治の迷走など日本を取り巻く環境も悪すぎる。

こうした環境に在っても俳句文芸は自己を失わず、世間に迎合せずに己を貫きたいものである。

虚子の一貫して変わらぬ態度を学ぶべきであるとおもう。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <37>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

9 寄り道 高野素十論 28 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「志摩芳次郎という俳人」

16 曾良を尋ねて 第41回 ちょっと立読み 乾佐知子
119─  『奥の細道』素龍本についての一考察(3)
120─ 『奥の細道』野坡本に関する一考察
121─ 『奥の細道』野坡本に関する一考察II
122─  芭蕉没後の曾良の動向

20 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
102 – 老人と老人のゐる寒さかな 杏太郎
103 – 雪が降り石は佛になりにけり 杏太郎
104 -「俳句とは冬日だまりのひとり言 杏太郎
105 – ラ・マンチャの男に吹いて秋の風  杏太郎

25 旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路④ちょっと立読み 石川英子

40 随筆 「韓国俳話あれこれ」3ちょっと立読み 本郷民男

43 他誌掲載記事 『俳句界(6月号)』『鶴(7月号)』

44 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

46 第19回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
①幸せという字
②サッチャーの言葉(その2)
③ロス・ペローの言葉

47 あとがき

48 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <37> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

令和元年春季佳句短評

東京ふうが 令和元年春季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報408回〜410回より選

花衣足袋つぐこともなく生きて  知子

杉田久女は「ノラともならず足袋をついだ」が、作者は「足袋をつぐこともなく」ここまで生きてきてしまったと人生を振り返る。どちらの生き方も貴重であることに変わりはない。

修司忌や戯れに擦る古マッチ  洋子

修司の生き方は何にでも戯れに挑戦してゆく。駄目ならまた違うものに挑戦するというそんな人生。決して美しく作られたものではない。しかし、その戯れに試みることの大切さに作者は大切なことが秘められていると言いたいのだろう。戯れに擦った古マッチは点いたのだろうか。

仲見世といふ花道を荒神輿  絵津子

三社祭をずばりと表現した。仲見世を花道と表現するなんてちょっと気が付かなかった。仲見世があまりに長いので花道の表現に辿りつかなかったのかもしれない。堂々たる立句になった。


東京ふうが57号(令和元年春季号)

編集人が語る「東京ふうが」57号

「東京ふうが」編集人より

本郷民男さんの「韓の俳諧」を読むと、かつてはのんびりと日韓の俳句愛好者が句を諳んじていたことが分かる。お互いの国の文芸に敬意を表していた証であろう。

現在の日韓情勢を見るに、よく言われることは「民間では相手を好きだが、政治の世界の建前としては相手を許さない」という二律背反の考えに取りつかれているそうだ。

800年代に空海が遣唐使に混じって渡海したとき、漂着をしたために身分を証明するものがなくて、しばらく福建省の赤崖村に留められたのであったが、31歳の空海が漢文で地方長官宛に書いた嘆願書が詩的にも文法的にも素晴らしくて、長安へ行くことを許されたという。

また、役人、軍人に至るまで詩文に長けていることが当時の常識であったそうだ。

要するに現代のつまらないいがみ合いは、文芸に親しまない人間が政治を担っていること起因すると思う。たかが俳句であれ世の中の役に立てるように努力したい。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <36>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

寄り道 高野素十論 27 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「素十と虚子の親密さ」

15 曾良を尋ねて 第40回 ちょっと立読み 乾佐知子
116─ 松尾芭蕉の臨終に関する一考察 ─
117─ 『奥の細道』素龍本についての一考察(1)
118─ 『奥の細道』素龍本についての一考察(2)

18 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
96 – ゆっくりと花びらになる蝶々かな 小林凛
97 – ぬかるみに車輪とられて春半分 小林凛
98 – 「戦争記録画」を描いた絵描きたち
99 – 「無期限貸与」の形で戻った戦争記録画

25 旅と俳句 シルクロードの旅 天山北路③ちょっと立読み 石川英子

32 随筆 「韓国俳話あれこれ」2ちょっと立読み 本郷民男

35 他誌掲載記事 『俳句四季(四月号)』『獅林(5月号)』

36 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

38 第18回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
(1) あるオランダ人通訳の言葉
(2) 森の破壊

35 あとがき

36 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <36> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

平成31年冬季佳句短評

東京ふうが 平成31年冬季・新年号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報404回〜409回より選

五郎助の啼く夜や母の針仕事  佐知子

母が針仕事に精を出している静かな夜に外では梟が鳴く音がする。郊外に出れば梟を聞く機会は幾らでもあった時代のことか。便利さが自然の豊かさを奪っていることなどをふと思う。

喪ごころに選ぶポインセチア真白  知子

ポインセチアは猩々木とも言い、真っ赤な猩々色が特徴だ。仕来り通りクリスマスが近づくのでポインセチアを買うのだが、近しい人を喪った後なので白色のポインセチアを選んだという。めりはりの利いた作品。

A列車に乗りジャズマンの冬を逝く  若子

ジャズの名曲【A列車で行こう】にまつわる一句である。知人のジャズマンが亡くなったこの冬を偲んで作った一句。好きだった【A列車で行こう】の曲に送られて天国へ行ったことだろう。ジャズは若き情熱を滾らせてくれる。

義士会も驚く高輪ゲートウェイ  まさみ

義士会で泉岳寺を訪れたのだが今泉岳寺の近くにJRの新駅「高輪ゲートウェイ駅」が建設中。かつての赤穂浪士も道を間違いそうな面白さがある。
 


東京ふうが56号(平成31年冬季・新年号)

編集人が語る「東京ふうが」56号

「東京ふうが」編集人より

 この号を出し終わったら新元号が決定した。令和という。いつも漢籍からの字句捜索であったものが国学の万葉集から取ったと時の首相が自慢していたようだ。
 俳句をやるものにとっては「令」の響きが「ピリッと引き緊まる冷気」を感じてしまうが如何だろうか。いや、いずれ使っているうちに記号の一つになって違和感が無くなると思う。少なくとも吾が余生の間に変わることは無いだろう。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <35>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

8 他誌掲載句月刊俳誌『氷室』 2019年2月号

寄り道 高野素十論 26 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「清水基吉の素十観」

12 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

14 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
92 – つけし人ら今亡し梅雨のティアラ展 眉村卓
93 – 艦載機グラマンに機銃掃射された夏の日
94 – 詩人・金子光晴の遭遇した関東大震災(上)
95 – 詩人・金子光晴の遭遇した関東大震災(下)

19 「旅と俳句」
平成20年
シルクロードの旅天山北路②ちょっと立読み
石川英子
Ⅰ – 西 安

26 曾良を尋ねて 第39回 ちょっと立読み 乾佐知子
113─ 近畿地方周遊の旅に関する一考察 ─
114─ 晩年の芭蕉の動向Ⅰ
115─ 芭蕉晩年の動向Ⅱ「不易流行」

29 随筆「韓国俳話あれこれ」ちょっと立読み 本郷民男

32 他誌掲載句『季のうた』(愛知新聞・2019年1月26日)

33 応募告知『みたま祭』(毎年7月開催)献詠句

34 第17回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
① スマホの副作用
② 千年さかのぼって 見渡したときの 不思議な光景

35 あとがき・ご案内『第30回 花と緑の吟行会』

36 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <35> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)

平成30年秋季佳句短評

東京ふうが 平成30年秋季号「墨痕三滴」より
お茶の水句会報401回〜404回より選

鎧より香の立ちのぼり菊人形  小田絵津子

言葉で鎧というと地味な感じがするが、色彩豊かな鎧が多い。鎧の部分に色とりどりの菊が使われたために香が濃く立ったというのが句意。

鳴砂山の砂の声きく夜寒かな  花里洋子

敦煌の鳴砂山の砂が風に流されて音を立てる。旅宿の夜寒の光景。しみじみと味わいたい。

野分中憲法守る投票へ  大多喜まさみ

憲法改正を目論む輩が跋扈している。仮に傷がある憲法でも直し直し使えば、それはポンコツでもなく「戦争放棄」を詠う地球上で一番輝く憲法であり続けるはずである。野分の中でも投票に行き憲法を守る意思を表している。

 


東京ふうが55号(平成30年秋季号)

編集人が語る「東京ふうが」55号

「東京ふうが」編集人より

東京ふうがは書き手が揃っていて読み物の楽しい雑誌になっている。この度韓国の専門家が入会したので更に面白くなるだろう。俳句を通して日本と韓国との友好関係に明るい一石を投じてくれると思う。次回をご期待ください。

蟇目良雨

 

目 次


名句逍遙 <34>  蟇目良雨
皆川盤水秀句鑑賞
高木良多秀句鑑賞

作品7句と自句自解ちょっと立読み

寄り道 高野素十論 25 ちょっと立読み 蟇目良雨
 「杉本零の素十論」

12 墨痕三滴(佳句短評) 蟇目良雨

14 曾良を尋ねて 第38回 ちょっと立読み 乾佐知子
110─ 伊勢神宮参拝以降の曾良の動向 ─
111─ 「曾良日記」に関する一考察
112─ 京都近畿地方での曾良の行動

16 旅と俳句 平成20年 シルクロードの旅 天山北路①ちょっと立読み 石川英子

22 随筆戦時下の中学生の一記録 M・Y

24 コラム 「はいかい漫遊漫歩」ちょっと立読み
(『春耕』より)
松谷富彦
88 – 春窮やルオーの昏き絵を展く 火原翔
89 – 春の夜やいやです駄目ですいけません 井伏鱒二
90 – ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂信子
91 – 窓の雪女体にて湯をあふれしむ 桂信子

29 他誌掲載記事「帆」平成30年12月号「受贈誌管見 海老原正博」

30 第16回 遊ホーッちょっと立読み 洒落斎
(1) 十三億分の一の男

31 風信「俳句大会入選おめでとう」
あとがき

32 句会案内

表3 東京ふうが歳時記 <34> 編集部選

(つづきは本誌をご覧ください。)